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謎解き×マーケティングという全く新しいマーケティング手法として弊社が打ち出している「ミステリーマーケティング」。
今回はそのミステリーマーケティングをいち早く導入してくださった株式会社ネクスウェイの風祭様に、施策実施後のお話を伺ってきました。
事業内容やオウンドメディア立ち上げの経緯などから、実際に施策を行って得られた効果、また今後のメディアの展望などについて、非常にたくさんの興味深いお話をしていただきましたので、ぜひ最後までご覧ください。
ネクスウェイ様およびオウンドメディア『アスヤクLABO』について
――ネクスウェイ様の事業内容について教えてください。
当社は、1985年に株式会社リクルートのひとつの事業部として、FAXの一斉配信サービスを行ってきた事業会社です。2004年にリクルートから分社独立をしたのち、2008年には富山に本社を置く株式会社インテックの100%子会社として事業展開を始めました。
もともとはFAXという紙の通信事業を提供していたところから、今はWebメディアやメール配信のサービスなどの事業にシフトしています。そのようにデジタルを活用してBtoBのコミュニケーション課題を解決するためのサービスを、さまざまな業種の方々に提供している会社になります。
――そのような背景があるのですね。
――それでは次に、『アスヤクLABO』について教えていただけますか?
まず現在運営している『アスヤクLABO』の前に、2013年に医療・医薬業界に対して「医薬情報おまとめ便サービス」という紙のメディアをサービスとして立ち上げました。これは日本薬剤師会との共同事業ということで、毎月1回、全国の薬局と病院薬剤部およそ65,000施設に、製薬会社からの情報をまとめてお届けするというサービスなのですが、それが立ち上がってからおよそ6〜7年経ちます。
そして2019年の2月に新しくこの『アスヤクLABO』というWebメディアを立ち上げました。というのも、やはり今は情報をWebから取得するというのが主流になってきていますし、お薬の情報もタイムリーに届けた方がよいものがあったりするので、そういった情報をWebメディア内で取り扱い、これまで以上に薬剤師さんにいち早く届けていこうという目的で立ち上げたのが、このWebメディアです。
――事業としての変化がすごいですよね。薬剤師向けのサービスに絞ったのは、メディアの立ち上げが転機だったのでしょうか?
もともとはFAX事業の一環で、製薬会社からのお薬の情報を全国の薬局や病院に速報としてお届けしていました。しかしFAXというコミュニケーション手段がどんどん希薄になってきて、一旦事業としては閉じたんです。
ただ、やはりその後も製薬会社から薬局や薬剤師へ情報を届ける通信手段があまりないということで、そこのニーズは大きくあるだろうと考えました。そこで改めてこの業界に特化した新しいサービスをメディアという形で立ち上げたという流れですね。
オウンドメディアでのウェブ集客
――『アスヤクLABO』ではどのような層の獲得を目指していましたか?
薬剤師の資格を持っている方は、現在全国で約30万人います。その中でも現役で働いている方というのが15万人ほどいて、可能であればその方々全員に見ていただくメディアにはなっていきたいなと思っています。しかし立ち上げてからいきなり全ての薬剤師さんを対象に、というのはなかなか難しいので、まずは「薬局長」さんや「管理薬剤師」さんと呼ばれる方々が見て役立つ、面白いと思ってもらえるものを中心にやっていこうということで始めました。管理薬剤師さんは責任者として薬局に必ず一人いなければいけないということが法律で決まっていて、そのような薬局の責任者の方をターゲットにしました。
――そのような層にご活用いただけるコンテンツというのは、具体的にはどのようなものなのでしょうか?
管理薬剤師さんの仕事は一般的な薬剤師の仕事に加え、薬局の運営や自店舗で採用しているお薬の在庫管理など含めた全体把握、人材育成などといったことが必要になってきます。すると視点もまた少し違いまして、例えば他店でどのような取り組みをしているのかというようなことを気にされたりします。そのため薬局の取り組み事例や取材記事を多く掲載したり、お薬の変更情報をお届けしたりといったことが中心になってきます。
――メディアで発信するコンテンツについて、こだわっている点や重視している点などはございますか?
薬剤師さんがご覧になっているWebメディアはさまざまなものがあるのですが、主には業界のニュースサイトを見られている方が多いです。もちろんニュースはニュースで日々の情報収集として役立つのですが、我々はそういった時事情報というよりは、発信したコンテンツをもとにどう現場でアクションしてもらえるかというところを特に意識しております。
というのも、我々は薬剤師さんを通して世の中の一般の方々……患者さんや生活者の方々に医療情報をきちんと知ってもらうことを目標としているので、薬剤師さんで情報が止まってはそれを果たすことができません。薬剤師さんからどのように患者さんや一般の方々に情報を届けていただけるかという、そこのアクションを重要視してコンテンツを発信しています。
――そういったところでニュースサイトとの差別化を図っていらっしゃるのですね。
――そのようなWeb集客の中で、抱えていた課題などはございますか?
立ち上げてから毎月何百名と登録はしていただいていたのですが、コンテンツの特性上、やはりニュースサイトなどのように毎日見るものではないので、それゆえの課題はありましたね。なかなか定期的にサイトに訪れていただけなかったり、役立つコンテンツはたくさん発信していてもそこになかなか関心を持っていただけなかったり……。そういったところに課題があったので、もう少し親しみやすく、ライトにこのメディアを使ってもらえるように仕掛けていきたいなとは思っていました。
ミステリーマーケティングで身近なコンテンツを
――ミステリーマーケティングを導入いただいた経緯について教えてください。
先ほどのお話からの流れなのですが、薬剤師さんの取り組み事例や取材記事などのキャリアアップ系のコンテンツは、「しっかり読まなければいけない」ような少し真面目なコンテンツという印象で捉えられてしまっていて、なかなか気軽に見てもらえないという課題がありました。もう少し身近に感じてもらえるようなコンテンツを配信して、メディアとユーザーとの接触数を増やしていきたいという意向でした。
そして実は以前、会員さんを募るために何回か謎解きやクイズのようなものを開催したことがあったのですが、その時のPV数がけっこう伸びたことがありました。そこで、「もう一度謎解きを用いたコンテンツ制作をやってみようか」ということを社内で検討しました。
――たしかに“ライトなコンテンツ”という意味で謎解きは適しておりますね!
――実際にミステリーマーケティングの施策を行うにあたって、弊社に期待していただいていたことはございますか?
「どういう会社さんにお願いしようか?」とか、「会社じゃなくて薬剤師さん個人に作ってもらおうか?」とか、そういったところでいくつかの案は出ていました。しかし医薬というところにはこだわらず、これまでよりもう少し幅広い知見をもとにしたコンテンツを制作しようということで、制作会社さんであるIKUSAさんにお願いしました。
薬剤師さんが薬剤師としても一人の人間としても興味を持ってもらえるようなコンテンツ制作に期待を持っていましたね。
集客だけでなく制作にもメリット
『アスヤクLABO』にて掲載された謎解き問題全3問
――「ミステリーマーケティング」で制作したコンテンツの出来栄えはいかがでしたか?
私も謎解きに精通しているわけではなく素人目線でしたので、どれくらいのレベル感が良いというようなことはよく分からなかったのですが、難易度をご相談させていただきながら調整していただいたり、イラストも併せて作っていただいたりなど、サービスとして全体的に良かったと思います。
――ありがとうございます!
――実際にコンテンツを発信してみて、Web集客の面ではどのような効果がありましたか?
全3回配信したのですが、特に1〜2回目はそれなりのPV数が得られ、まずまずの効果が得られたと思います。
また、謎解きにチャレンジしていただいた薬剤師さんが一部回答のミスに気づいてお問い合わせをくださったのですが、ご指摘と合わせて「いつも楽しく解かせていただいてます」とのお言葉をいただきました。そういったお声でも、「楽しんでいただけているんだな」と効果を実感しました。
――ミステリーマーケティングについて、これまでオウンドメディアにおいて行われてきた施策になかった利点や良かったところなどはございましたか?
これまではコンテンツの企画から制作、配信までの工程にけっこう手間暇をかけていて、リソースを割いてしまうコンテンツが多かったんです。取材記事などは特にそうで、テーマ決めから、実際にオファーをして取材、記事起こしと、かなりの時間と負荷がかかってしまう部分がありました。
今回は制作の全工程を御社にご依頼できましたし、制作期間も比較
メディアとして、1コンテンツを配信するのにとても時間がかかるとなってしまうと、あまりよくないですよね。定期的にコンテンツが更新されることでユーザーさんが見にきてくれるということもあると思うので、そういった部分では制作の工程を簡略化できたのは良かったなと思っています。
――これまでは取材記事なども多く作ってこられたと伺いました。メディア運営の中でもそこの制作に大きな労力がかかってしまっていたのですね。
――そのほか、ミステリーマーケティングに関して「もう少しこうだったらよかったな」というような点はございましたか?
これまで配信してきたものとはジャンルの違うコンテンツを配信でき、新たな層を集客できたり、新規の会員登録にもつなげられたりしたので、そういった部分では効果があったかなと思っています。
しかしそれ以外の課題であった「定期的に訪れてもらう」「他のコンテンツにも回遊してもらう」「受け取った情報を患者さんや一般の方に届けてもらう」といった目的にはまだ達していないのかなという思いもあります。謎解きはあくまできっかけではあるとも思いますが、それをいかに定期的な来訪につなげるか、他のコンテンツへの回遊につなげるか、さらなる情報の橋渡しにつなげるかといった部分でもう少し改善できるとよいかなとは思いました。
――とても貴重なご意見です。ありがとうございます。
――それでは最後に、今回の施策を振り返っての総括として、ご感想などをお聞かせいただけますか?
一つ前のご質問への回答と被ってしまうのですが、まずはライトで親しみやすいコンテンツを発信しようということで実際にやってみて、具体的にこういう反応があるんだというのは検証できたので良かったかなと思っています。
ただしメディアの目指す姿に今回の謎解きが果たして合っていたのかというと、100%合っていたわけではなかったとも思っています。さらなるアクションにつなげるためにどういうコンテンツをやっていったらいいのかとか、回遊性を担保するにはどういうコンテンツがよかったのかとか、そういった工夫点も今後は検討していきたいなと考えています。
――ありがとうございました。
まとめ
今回は、ミステリーマーケティングを導入いただいた株式会社ネクスウェイの風祭様に、施策実施後のお声を伺いました。ミステリーマーケティングによって良い効果が得られた面もあれば、解決に至っていない課題もあるという、非常に貴重なご感想をいただくことができました。
オウンドメディア運営においては、メディア自体の目的やターゲットとする層によって発信すべきコンテンツや効果の望める施策が異なってきます。Webマーケティングに課題を感じておられる企業さま、ぜひこれまでに行ってきたコンテンツ制作とは少し趣向を変えて、新たな視点でのコンテンツ制作に取り組んでみてはいかがでしょうか。