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リーダーシップとは?求められる10のスキルや、能力を高める方法を解説!

 

「リーダーシップは、生まれ持った素質」であると考えている人も多いかもしれません。もちろん、もともとの性格が影響する部分もありますが、それだけではありません。リーダーシップは、経験や学習により、誰でも高めていくことができるのです。

本記事では、そもそも「リーダーシップ」とは何かについて、マネジメントとの違いや、リーダーシップの目的、代表的な理論(PM理論、クルト・レヴィンの理論、ダニエル・ゴーマンの理論)を交えながら、わかりやすく解説します。

併せて、リーダーに必要な能力・スキル、行動の具体例や、社員のリーダーシップを高める施策についても紹介します。

リーダーシップとは何?

リーダーシップ(leadership)は、「統率力」や「指導力」の意味を持つ英単語です。語源となっているのは、古英語の「lædan」。何かを「導く」「生み出す」という意味があります。つまり、リーダーシップとは「組織やチームを導く力」であるといえます。

これまでに、「リーダーシップとは何か」について、さまざまな議論や研究が行われてきました。定義も複数ありますが、多くに共通しているのは「目標を達成するために、メンバーに良い影響を与える」ということです。組織やチームが目標を達成するためには、メンバー全員の力が必要となります。リーダーは、メンバーに指導や動機付けを行う、良い手本として行動を示すなどして、メンバーを動かしていかなければならないのです。

かつては、一握りのカリスマ的存在や、権力者たちをリーダーシップと呼んでいる時代もありました。しかし近年では、リーダーシップはこうした一部の人たちだけでなく、誰でも身につけることができる能力だとして、研究が進められています。

マネジメントとの違い

リーダーシップと混同しがちな言葉に、「マネジメント」があります。マネジメント(management)は、「経営」や「管理」の意味を持つ英単語です。

マネジメントにもさまざまな定義や種類がありますが、一般的に広く認知されているのは、「マネジメントの父」とも呼ばれているピーター F. ドラッカーの考え方でしょう。ドラッカーは、自身の著書『マネジメント』(1973年)の中で、マネジメントを「組織に成果を上げさせるための道具・機能・機関」と定義しています。つまり、ヒト・モノ・カネなどの経営資源を効率的に活用し、リスク管理をしながら目標達成を目指すことをいいます。

ヒト(人材)をまとめ率いていくリーダーシップも、マネジメントに欠かせない要素の1つです。リーダーシップには、どんな目標・ビジョンを達成するために(What)、組織やチームをどの方向に導いていくか(Where)といったことが求められます。これに加えて、いつ(When)、誰に(Who)、どのような(How)ことをすれば目標を達成できるのか、具体的な戦術を考えていくのがマネジメントです。

リーダーシップの目的とは

なぜ、組織にはリーダーシップが必要なのでしょうか。ここでは、リーダーシップの3つの目的について解説します。

先に述べたように、一口に「リーダーシップ」といっても、さまざまな定義や種類があります。場面や状況によって求められるリーダーシップは違うのです。目的を明確にすることで、取り組み方が変わってくるでしょう。

目標を達成する

個人ではなく、複数人が集まる組織やチームで目標を達成しようとするなら、メンバー全員をまとめ、率いていく存在が必要です。リーダーシップがなければ、目指すべき目標やビジョンが統一されず、メンバーはどこに向かうべきかわからなくなってしまいます。

リーダーが向かうべき方向をメンバーに明確に示し、そこに向かうための動機付けをすることで、目標を達成することができるのです。

組織内の結束を高める

1つの組織やチームのなかには、性別・年齢・国籍などもさまざまなメンバーがいます。当然、考え方や価値観、仕事の進め方も、人によって違うでしょう。多様なメンバーをまとめ、結束を高めるためには、リーダーシップが必要です。

コミュニケーションを活性化させて相互理解を深め、結束を高めることが、業務効率や生産性の向上につながります。

個人の成長を促す

少子高齢化の影響もあり、「優秀な人材をなかなか採用できない……」という悩みを抱えている経営者や採用担当者の方も多いのではないでしょうか。これからの時代は、優秀な人材は「獲得」するのではなく、自社で「育成」していかなくてはなりません。そのためには、リーダーシップが必要です。

リーダーがメンバー一人ひとりに適切な目標や課題を与えることで、成長が促されます。

PM理論とは何?

PM理論とは、有名なリーダーシップ理論の1つです。1966年、日本の社会心理学者の三隅二不二(みすみ じゅうじ)によって提唱されました。

この理論では、リーダーシップはPPerformance function:目標達成機能)と、MMaintenance function:集団維持機能)の2つの能力要素で構成されているとしています。そして、このいずれかの能力に偏るのではなく、どちらも高い状態(PM型)のリーダーシップが望ましいとされています。

2つの能力要素について、詳しく見てみましょう。

P(目標達成機能)とは

目標達成機能(P機能)とは、目標を達成するための働きのことです。生産会社ならば、生産性を上げて利益を出すこと、研究所ならば、研究業績をあげることが、目標達成機能となるでしょう。

例えば、部下の業績を上げるために指導やアドバイスしたり、的確な指示を出しメンバーを動かしたりする能力が高い人は、目標達成機能が優れているといえます。

M(集団維持機能)とは

集団維持機能(M機能)とは、組織やチームをまとめて士気を高める働きのことです。

例えば、部下の意見に耳を傾けたり、チーム内の人間関係のトラブルに適切に対処したり、コミュニケーションの活性化を図るなどして、人間関係を良好に保つことに長けている人は、集団維持機能が優れているといえます。

クルト・レヴィンが提唱したリーダーシップの3タイプとは

アメリカの心理学者、クルト・レヴィンは、リーダーシップを以下の3つのタイプに分類しました。

  • 専制型リーダーシップ
  • 民主型リーダーシップ
  • 放任型リーダーシップ

「リーダーシップ類型」や「アイオワ研究」とも呼ばれているものです。このなかで、作業の質・作業意欲・有効な行動などが最も優れているのは、「民主型リーダーシップ」であるとしています。3つのタイプを、1つずつ見ていきましょう。

専制型リーダーシップ

専制型リーダーシップでは、意思決定やメンバーの行動などを、すべてリーダーが決めます。メンバーは消極的・受動的で、リーダーが指示を出さなければ動きません。

まだ安定していないチームや、緊急性の高い場面において効果的な方法です。ほかのタイプに比べて、短期間の間に多くの仕事量をこなし、高い生産性を得ることができます。

しかし、メンバーが反感や不信感を抱きやすく、個人の成長にもつながりにくいので、長期的に見ると効果的な方法とはいえません。

民主型リーダーシップ

民主型リーダーシップでは、リーダーのサポートのもとメンバー同士で話し合い、方針を決めていきます。

通常の業務において、最も望ましい方法です。作業の要領や手順もメンバーに委任し、自ら考えて行動させるので、短期間の生産性は低くなりますが、メンバー一人ひとりの自主性が高まります。コミュニケーションも活発になり、チームワークも強化されるので、長期的には生産性の向上が期待できるでしょう。

放任型リーダーシップ

放任型リーダーシップでは、意思決定やメンバーの行動などに、リーダーはまったく関与しません。すべてメンバーに任せきりという状態です。

メンバーだけではなかなかうまくいかないことが多いので、士気が下がり、仕事の質も悪くなります。ただし、研究開発部門など、メンバー全員の能力が高く、一人ひとりに自主性があるチームでは効果的です。

ダニエル・ゴールマンが提唱したリーダーシップの6つのタイプとは

アメリカの心理学者、ダニエル・ゴールマンは、リーダーシップを以下の6つのタイプに分類しました。

  • ビジョン型リーダーシップ
  • コーチ型リーダーシップ
  • 関係重視型リーダーシップ
  • 民主型リーダーシップ
  • ペースセッター型リーダーシップ
  • 強制型リーダーシップ

リーダーは無意識のうちに、6つのタイプのなかから1つ、または複数を選択し、状況に応じて使い分けているという考え方です。1つずつ詳しく見ていきましょう。

ビジョン型リーダーシップ

ビジョン型リーダーシップは、共通のビジョンを明確に示すことで、メンバーを動かすタイプのリーダーシップです。ビジョンに到達するまでの方法はメンバーの自主性にゆだねるので、個人の成長を促すことができます。

年上部下のように、メンバーのなかにリーダーよりも知識や経験が豊富な人がいると、ビジョンだけでは大げさに聞こえてしまうこともあります。また、強圧的な態度を取ると、メンバーに反感や不満を抱かれてしまう可能性がありますので、注意が必要です。

しかし、最も前向きなリーダーシップのスタイルであり、メンバーの帰属意識が高まるというメリットもあります。総合的に見ると、6つのなかで最も有効なスタイルであるといえるでしょう。

コーチ型リーダーシップ

コーチ型リーダーシップは、各メンバーとの「11」の関係を重視するタイプのリーダーシップです。個人の希望を尊重しながら成長させ、目標達成を目指します。

リーダーは、メンバーの能力、長所・短所を、しっかりと把握しておかなければなりません。それらを本人にも自覚させながら、サポートしていきます。

モチベーションが高い人には高い効果が期待できますが、低い人にはあまり効果がありません。また、カウンセリングの考え方や、メンバーの内面を察知する能力、育成力など、さまざまなスキルが求められます。コーチ型リーダーシップを発揮するためには、まずこれらのスキルを身につける必要があります。

関係重視型リーダーシップ

関係重視型リーダーシップは、目標を達成することよりも、チーム内の人間関係を重視するタイプのリーダーシップです。モラルの向上、メンバー同士の信頼関係の構築・改善、コミュニケーションの活性化などの効果が期待できます。

しかし、あまりにもメンバーの感情面のニーズばかりを優先していると、達成すべき目標が後回しになってしまいます。ほかのスタイルを併用し、リーダーシップの本来の目的を見失わないようにしましょう。また、メンバーに気を使いすぎて、対立を避ける癖がつかないよう、注意する必要があります。

民主型リーダーシップ

民主型リーダーシップは、メンバーの意見を広く取り入れ、結果よりもプロセスを重視するタイプのリーダーシップです。

結果がどうであれ、メンバーを含め関係者全員に前向きなインパクトを与えることができます。アイデアを生み出したいときや、チームの実態を把握したいときに効果的なスタイルです。

知識や経験の浅いメンバーに対しては、あまり効果がありません。また、考え方は人それぞれなので、多様な意見をまとめるのも大変です。結論が出にくいので、緊急を要する場面には向いていません。

ペースセッター型リーダーシップ

ペースセッター型リーダーシップとは、リーダー自身が高い成果を上げて「手本」として見せることで、メンバーの士気を高めるタイプのリーダーシップです。レベルの高い目標の達成を目指し、メンバーが失敗した場合は、リーダーが状況改善を行います。

メンバーが強いプレッシャーに感じてしまわないよう、関係重視型を併用し、メンバーの感情面も重視することを忘れないようにしましょう。また、本来達成すべき目標を見失わないよう、ビジョン型を併用して、目標を明確に示すことも大切です。

強制型リーダーシップ

強制型リーダーシップは、意思決定やメンバーの行動などを、リーダーがすべて決めるタイプのリーダーシップです。

リーダーは、メンバーに理由の説明は行わず、ただ「指示」や「命令」のみを与えます。メンバーは、それを速やかに実行しなければなりません。落ち度があれば指摘されますが、要求をクリアしても褒められることがないので、メンバーのモラルや自尊心、モチベーションが低下します。

危機的状況に陥っているときや災害時など、緊急時においては効果的なスタイルです。

参考:リーダーシップのスタイル byダニエル・ゴールマン|四国地区大学教職員能力開発ネットワーク:SPOD(PDF)

リーダーに必要な能力・スキルとは

「リーダーシップを高めるにはどうしたらよいだろう……」そんなお悩みを抱えている人も多いのではないでしょうか。ここからは、リーダーに求められる10の能力・スキルを紹介します。いずれも短期間で身につくものではありませんが、これらを日頃から意識するだけで、取り組み方が変わってくるでしょう。

1. 目標設定能力

リーダーには、適切でわかりやすい目標を設定する力が必要となります。目標設定の際は、「SMART」を意識してみましょう。

  • Specific(具体的である)……誰が読んでもわかるような明確な表現であるか
  • Measurable(計測できる)……達成度合いが数字で測定できるか
  • Achievable(達成できる)……現実的に達成できるレベルか
  • Related(上位目標と関連する)……会社や部門全体の目標に貢献できるか
  • Time-related(期限がある)……期限が定められているか

また、目標だけでなくKPIも設定しましょう。KPIとは、目標の達成度合いを測るための指標のことです。例えば、「今期の売上を前期と比較して10%アップさせる」という目標を設定したとします。これを達成するために、「来客数を5%増」というように、具体的なアクションを数値化したものがKPIです。

適切でわかりやすい目標を設定することで、チーム全員が同じ方向に進んでいくことができます。

2.向上心

メンバーの良い手本となるために、リーダーはさまざまな知識を身につけなくてはなりません。努力を怠らず、向上し続ける気持ちが必要となります。リーダー自身が積極的に学ぼう・スキルを向上させようとする姿を見て、「リーダーが頑張っているのだから、自分ももっと学ばなくては」と刺激を受けるメンバーもいるかもしれません。向上し続けようとする姿勢を示すことも、メンバーの良い手本となるのです。

また、少子高齢化、グローバル化、働き方改革など、企業を取り巻く環境はめまぐるしく変化しています。これまでのやり方に捉われていては、これらの変化に対応することは難しいでしょう。リーダーには、新しい知識を取り入れ、よりよい方法を考え続ける姿勢が求められます。

3.決断力

「決断力」とは、自身の責任で、大きな変化を伴う決定をする能力のことをいいます。混同しがちな言葉に「判断力」がありますが、こちらは経験やデータをもとに、現状を分析・評価する能力のことです。もちろん、リーダーには判断力も必要です。しかし判断力だけでは、過去の経験やデータから「最善策」を見つけることはできても、さらなる成長につながる「大胆な決定」をすることはできません。

リーダーになると、過去に捉われず、勝負をしなければならない場面も訪れます。「この条件を満たせなければ中断する」というように、あらかじめ基準を明確にしておくと、思い切った決断もしやすくなるでしょう。

4.コミュニケーション能力

自分以外の人を動かすには、まずは信頼関係を築くことが大切です。そのために、コミュニケーション能力は欠かせません。

コミュニケーションは、双方向で成り立つものです。こちらから指示やアドバイスを伝えるだけでなく、メンバーの話をよく聴きましょう。また、自分とメンバーだけでなく、メンバー同士の人間関係にも気を配る必要があります。メンバーの悩みや些細な変化に早期に気づくために、日頃から気軽なコミュニケーションを多く取るように心がけましょう。

5.育成能力

先に述べたように、優秀な人材を「獲得」するのではなく、自社で「育成」していかなければならない時代となっています。目標を達成するだけなら、チーム内のだれか一人が優秀であれば、もしかしたら可能かもしれません。しかし、その人ばかりに頼っていては、負担が大きくなり、健康面に影響が出ることも考えられます。また、ほかのメンバーから反感や不満を抱かれてしまうこともあるでしょう。

企業が持続的な成長を続けていくためには、全社員のレベルを底上げしていく必要があります。そのために、リーダーには、自分のチームのメンバーを育成する力が求められるのです。

6.実行力

指示や命令を出すだけでは、信頼を得ることは難しいでしょう。リーダー自ら率先して行動し、メンバーの手本となるような実行力が求められます。

直接業務に関することだけでなく、掃除や備品整理なども積極的に行いましょう。そのような姿勢を見せることで、メンバーの自主性を高めることができます。

また、目標を達成するためには、チーム全員で同じ方向に進んでいかなければなりません。メンバーの意見・要望をしっかりと聞き入れ、どうすればチーム全体で実行できるかを考える力も必要です。

7.誠実性

どんなに仕事ができても、日頃から嘘を言う人や、約束を破るような人では、なかなかメンバーの信頼を得ることは難しいでしょう。信頼関係は、一度崩れると再構築するのは困難になります。忙しくて余裕がないときも、メンバーと誠実に向き合うことが大切です。

また、チームとしてうまく回っているときも、自分を過信してはいけません。リーダーとして自信がつくのは良いことですが、誠実さと謙虚さを忘れず、傲慢な態度を取らないよう注意しましょう。

8.責任感

リーダーは、そのチームの目標や仕事について責任を負っています。例えば、メンバーがミスをしたなら、その責任はリーダーが取らなければなりません。「メンバーのミス=自分のミス」と考えられるような、強い責任感が必要なのです。

責任感の強さは、メンバーにも伝わります。日頃から責任感のある振舞いができているかどうかで、メンバーからの信頼度も変わってくるでしょう。「リーダーに任命されたからやる」のではなく、チームの目標達成を自分事として取り組む姿勢が求められます。

9.モチベーション管理能力

メンバーのモチベーションは、チームの業務効率や生産性にも影響を与えます。動機付けを行い、メンバーのモチベーションを向上・維持させていかなければなりません。

モチベーションには、報酬や評価、罰則などの外からの刺激により引き出される「外発的モチベーション」と、「やりたいからやる」「自分もこんな風になりたい」というように、内側から湧いてくる「内発的モチベーション」があります。リーダーに求められるのは、メンバーの内発的モチベーションを引き出すことです。

内発的モチベーションは、外発的モチベーションに比べて効果に持続性があり、個人の成長にもつながります。適切な評価・フィードバックを与える、キャリアについて相談にのるなどして、メンバーの動機付けを行っていきましょう。

10.寛容性

1つのチームには、さまざまな人が集まっています。当然、考え方・価値観は人それぞれです。リーダーには、自分と違う意見が出ても、それを受け入れる寛容性が必要となります。まずはリーダーが受け入れ、理解しなければ、メンバー同士で相互理解を深めていくことは難しいからです。特に近年は、多様性が求められる時代となっています。多様性を受け入れ、それぞれを活かしていく能力は、これからのリーダーに必須といえるでしょう。

また、チーム内で何かミスが起きたときは、そのメンバーの何がいけなかったかという点だけでなく、自分の伝え方が十分だったかどうかを振り返ることができる寛容さも必要です。

リーダーがとるべき行動とは

リーダーは、前項で紹介したような能力・スキルをただ持っているだけでなく、その能力・スキルをしっかりと行動に反映させていかなければなりません。ここでは、リーダーが具体的にとるべき行動例を、いくつか紹介します。

仕事を明確にする

リーダーに必要な能力・スキルの1つとして、「目標設定能力」を挙げました。リーダーは、わかりやすい目標を設定し、メンバーに示さなければなりません。チーム全員で設定した目標達成に向かって取り組んでいくためには、その目標を設定した理由を説明し、「なぜこの仕事を行う必要があるのか」という点も、明確にする必要があります。

例えば、「今期の売上を前期と比較して10%アップさせる」という目標を設定したとします。なぜ「10%アップ」なのか、その内訳は新規顧客なのかリピーターなのか、目標だけでは見えない部分を、しっかりと説明し、メンバーの理解を得ましょう。

チームの存在意義をメンバー全員の共通認識とすることで、チームの結束が高まります。

目標達成のための計画を立てる

リーダーは、目標を設定するだけでなく、そこに至るまでのプロセスも計画しなければなりません。リーダー一人で決めるのではなく、メンバーの意見や提案も取り入れることで、自主性を高めることができるでしょう。

想定外の事態が起きる可能性も視野に入れ、複数の代替案を計画しておくことが重要です。

チームの働く環境を整える

メンバー一人ひとりが最大限に能力を発揮できるよう、働く環境を整えましょう。必要な設備があれば揃え、整理整頓もリーダーが積極的に行うことで、メンバーの自主性も高まります。

また、これまでと違う使命を与えられることもあるでしょう。例えば、「これまで商品の販売促進に取り組んできたチームが、新商品の開発を任されることになった」というような場合です。そうなると、仕事の進め方も変えていかなければなりません。「仕事を明確にする」に通ずる部分もありますが、なぜそうする必要があるのかという理由をリーダーが明確に説明することで、体制の変更もスムーズに行うことができるでしょう。

人材配置や人間関係に配慮する

先ほども述べたように、「個人の成長を促す」は、リーダーシップの目的の1つです。メンバーの強み・弱みを把握し、どうすれば最大限に能力が発揮できるかを考えましょう。

特に配慮する必要があるのが、人材配置や人間関係です。適切な役割を与えることで、メンバーの自主性も高まり、モチベーションの向上も期待できます。

コミュニケーションを活性化させる

チームの業務を円滑に進めていくためには、コミュニケーションが欠かせません。コミュニケーションは、双方向で成り立ちます。コミュニケーションを活性化させるためには、こちらからの指示をわかりやすく伝えるだけでなく、メンバーが提案や意見を言いやすいような雰囲気をつくることも大切です。

忙しくて余裕がないこともあると思いますが、リーダーが「話しかけにくい雰囲気」を出していると、相談や報告が遅れ、業務に影響が出ることもあるかもしれません。挨拶やこまめな声掛けなど、気軽なコミュニケーションを欠かさないよう心がけましょう。

また、報告・連絡・相談は、メンバー側からのコミュニケーションの機会の1つです。「日報」や「週報」など仕組化して、促すこともときには必要です。

評価とフィードバック

評価とフィードバックも、個人の成長やモチベーションの向上・維持に欠かせません。どこが良かったのか・悪かったのかをメンバー自身に認識させ、改善の機会を与えます。

これをまったく行わないと、メンバーからの信頼を失ってしまったり、反感や不満を抱かれてしまったりする可能性があります。だからといって、回数が多ければ良いというものでもありません。評価とフィードバックは、「適切なタイミング」で行うことが重要となります。

「適切なタイミング」は、メンバーのこれまでの経験や、持っている知識・スキル、性格によっても異なります。一人ひとりの能力・特性や進捗状況を把握し、タイミングを見極めることが重要です。

モチベーション維持のための動機付けを行う

先ほども述べたように、リーダーに求められるのは、メンバーの内発的モチベーションを引き出す動機付けです。日頃のコミュニケーションのなかでも、少し意識をするだけで、内発的な動機付けができます。

例えば、書類の整理をしてくれているメンバーがいたとします。「ありがとう」「いつも君が整理してくれていたのだね」などと一言声をかけるだけで、メンバーは、自分の行動が認められたという満足感を得ることができます。

また、適切なタイミングで褒めることも大切です。結果だけでなくプロセスも重視し、どこがよかったのかをメンバーに伝えましょう。

このように、ちょっとした行動を認知することが、メンバーのモチベーションにつながっていくのです。

メンバーの手本になる

リーダーとして、積極的に目標達成に向けて行動し、メンバーの手本となりましょう。しかし、行動を見せるだけでは効果がない人もいます。また、「仕事は見て覚えなさい」という教え方では、「このリーダーは教える気がないのではないか」と感じられてしまう可能性もあるでしょう。そうなれば、メンバーからの信頼も得られなくなります。

大切なのは「有言実行」です。まず言葉で示し、次に行動で示します。例えば、業務の効率化のために「残業をしない」ことを決めたら、リーダーはまずそれを宣言し、自らの仕事を効率化していきます。このように、良い手本となるためには、言動と行動が一致していることが重要なのです。

企業が社員のリーダーシップを高めるには?

冒頭でも述べたように、リーダーシップは、一握りのカリスマ的存在や、権力者たちだけが持つ特別なものではありません。経験や学習により、誰でも身につけることができます。

ここからは、社員のリーダーシップを高めるために企業として実施できることを紹介します。

リーダーシップ理論への理解を深める

本記事で紹介したように、リーダーシップに関してはさまざまな考え方や種類があります。企業が社員のリーダーシップを高めるためには、まずは経営層や人事担当者が、リーダーシップ理論への理解を深める必要があります。自社にはどのようなリーダーが求められるのか、理念や風土、ビジョン、事業内容と照らし合わせて考えてみましょう。

そのうえで、社員にリーダーシップに関する本を読ませる、オンライン学習を受けさせるなどして、リーダーシップ理論への理解を深めてもらいます。オンライン学習は、理解度テストがあるものを選ぶとより効果的でしょう。

研修を通してリーダーシップを高める

社員のリーダーシップは、研修を通して高めることが可能です。外部講師を招いて社内で行う方法と、外部機関などが行う研修を社員に受講させるという2つの方法があります。

リーダーシップ理論や知識・ノウハウを頭に入れるだけでは、実際の現場でいきなりリーダーシップを発揮することは難しいでしょう。座学だけでなく、学んだことをすぐに実践できるような演習や、体験型のゲームなどをカリキュラムに取り入れると効果的です。

【企業向け】リーダーシップを高める研修3

「研修」を感じすぎない、楽しい雰囲気の研修がしたい! そんな風に考えておられる方も多いのではないでしょうか。より深い知識やノウハウを学びたいときは外部研修がおすすめですが、「楽しく」スキルを身に着けたいなら、社内での研修に体験型のゲームを導入してみてはいかがでしょうか。

株式会社IKUSA(以下、IKUSA)は、企業の研修に役立つさまざまなサービスを提供しています。そのなかから、リーダーシップの向上につながるサービスを、いくつか紹介します。

サバ研

サバ研」は、サバイバルゲームを通して、近年注目を集めるフレームワーク「OODA LOOP」を学べる研修です。OODA LOOP」は、Observe(観る)→Orient(わかる)→Decide(決める)→Act(動く)という4つのプロセスを、繰り返し行っていくというもの。これにより、迅速かつ柔軟な意思決定力や、臨機応変に対応する力が身につきます。

リーダーとして、メンバーに適切な役割を与えられるか、短時間で状況を把握して適切な判断が下せるかという点が、勝敗を決めるカギとなるでしょう。エアガンだけでなく、当たっても痛くないレーザー銃の使用も可能ですので、安心して研修を楽しんでいただけます。

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合意形成研修 コンセンサスゲーム ONLINE

合意形成研修 コンセンサスゲーム ONLINE」は、Zoomなどのビデオチャットツールを使用して、オンラインで実施するコンセンサスゲームです。ある物語のなかで必要なアイテムの優先順位を、チームで話し合って決めていきます。

リーダーには、メンバーそれぞれの考えや価値観を上手く引き出す「コミュニケーション能力」が求められます。また、多様な意見を受け止め理解する「寛容性」も必要です。ゲームを通して、これらの重要性を実感することができるでしょう。互いが協力せざる得ない構造なので、自然とコミュニケーションも活発になり、チームビルディングにつながります。

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リモ謎

リモ謎」は、Zoomなどのビデオチャットツールを使用して、オンラインで実施する謎解き脱出ゲームです。チームで協力しながらいくつかの謎を解き、ある空間からの脱出を目指します。リーダーとして、役割分担や情報共有がスムーズにできるかどうかが問われるゲームです。

独自開発した「リモ謎システム」を採用しており、操作方法もシンプルなので、オンラインに不慣れな方でも安心してお楽しみいただけます。「閉ざされた電脳都市からの脱出」「燃え盛る本能寺からの脱出」「終わらないリモート会議からの脱出」など、複数のストーリーをご用意。自社に合わせてカスタマイズも可能です。どれも演出にこだわっており、没入感があります。

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まとめ

企業の持続的な成長に欠かせない、リーダーシップ。リーダーシップは、一握りのカリスマ的存在や権力者たちだけに備わった能力ではなく、誰でも身につけることが可能です。リーダーシップに求められる能力・スキルは、いずれも短期間で習得できるものではありませんが、日々意識し、実践を繰り返していけば、必ず変化が現れるはずです。

リーダーシップには、さまざまな考え方や種類があり、場面や状況、事業内容などによっても、求められるスタイルは変わってきます。まずはリーダーシップ理論への理解を深め、企業の将来に必要なのはどんなリーダーかを、考えてみてください。

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あらたこまち

この記事を書いた人

あらたこまち

雪国生まれ、関西在住のライター・ラジオパーソナリティ・イベントMC。 不動産・建設会社の事務職を長年務めたのち、フリーに転身。ラジオパーソナリティーとしては情報番組や洋楽番組を担当。 猫と音楽(特にSOUL/FUNK)をこよなく愛し、人生の生きがいとしている。好きな食べ物はトウモロコシ。

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