目次
会議やミーティングにおいて、「メンバーが積極的に意見を出してくれない」「話がすぐに脱線してしまう」などという経験をされたことはありませんか? 話し合いをスムーズに進めていくためには、「ファシリテーション」が有効です。
本記事では、ファシリテーションとは何か、目的、メリットや、役割と取り組み方、必要なスキル、具体的な進め方やポイントを、初心者の方にもわかりやすく解説します。また、社員のファシリテート能力を向上させたいと考えている経営者や人事担当者の方もいらっしゃることでしょう。ファシリテート能力は、研修やセミナーを通して高めることができます。記事の後半では、研修におすすめのサービスも紹介していますので、ぜひ最後までお読みください。
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ファシリテーションとは何か
ファシリテーションの普及のために設立された、特定非営利活動法人日本ファシリテーション協会によると、ファシリテーションとは、“人々の活動が容易にできるよう支援し、うまくことが運ぶよう舵取りすること”(引用元:ファシリテーションとは – FAJ:特定非営利活動法人 日本ファシリテーション協会)であるとしています。
ビジネスシーンにおいては、会議やミーティングが円滑に進むように、参加メンバーから意見を引き出したり、話しやすい雰囲気をつくったりすることをいいます。
ファシリテーションの意味
ファシリテーション(facilitation)は、「容易にすること」「便利化」などの意味を持つ英単語です。ラテン語のfacilis(簡単な、容易)に由来しています。
もともとファシリテーションは、学習や教育、市民活動の場面で活用されていた体験学習の技法でした。現在では、「会議やミーティングをスムーズに進めるためにサポートする技術」として、ビジネスシーンでも応用されるようになっています。
ファシリテーターとは
ファシリテーションの役割を担う人を、ファシリテーターといいます。ファシリテーションの役割について詳しくは後述していますが、ファシリテーターとは、単なる「進行役」ではありません。メンバーの緊張をほぐして話しやすい雰囲気をつくり、時には適切な質問を投げかけるなどして意見を引き出し、多様な意見をまとめ、合意形成を図ります。
ファシリテーションの目的
なぜ単なる「進行役」ではなく、ファシリテーターが必要なのでしょうか。その目的について解説します。
ファシリテーションの目的は、「ゴールに到達するために、メンバーの能力を最大限に引き出すこと」です。会議やミーティングにおいては、「結論を出す」や、「課題を解決する」ことがゴールとなりますが、それに加えて、最後にメンバー全員に「納得感」があるかどうかという点が、重要なポイントになります。
このためには、メンバー全員のやる気と知恵を引き出さなければなりません。積極的に自分の意見を発言し、問題を解決するために協力し合える状態をつくることが、ファシリテーションの目的といえるでしょう。
つまり、段取りや進行、プログラムといった、結論を出すための「外面的なプロセス」だけでは、ファシリテーションをしたことにはなりません。考え方や感情、メンバー同士の関係性といった「内面的なプロセス」にかかわり、納得感を生み出すことが重要なのです。
ファシリテーションはリーダーにも必須のスキル
近年、「多様性」や「ダイバーシティ」という言葉をよく聞くようになりました。かつては一握りのカリスマ的な存在や権力者など、「引っ張っていく力」が強いリーダーが求められる時代もありましたが、現代のリーダーにより求められるのは、「多様な価値観のメンバーをまとめる力」です。ファシリテーションは、リーダーに必須のスキルといえるでしょう。
ファシリテーションの3つのメリット
ファシリテーションにより、会議やミーティングがスムーズに進むようになります。しかし、得られる効果はそれだけではありません。ここでは、ファシリテーションの3つのメリットを紹介します。
納得度の高い合意を形成できる
先ほども述べたように、ファシリテーションによって、メンバーは納得感を得ることができます。通常の会議だと、最終的には経営トップの意向が採用されたり、多数決となったりなど、少数派の意見が反映されないこともあるでしょう。ファシリテーションは、メンバー全員から意見を引き出し、合意できる点とできない点を整理しながら進めていくので、少数派の意見が見落とされることがありません。
また、多様な意見が出ると、話が脱線したり、論点がズレてしまったりして、本来重視すべきポイントが見えなくなってしまうことがあります。話が盛り上がってしまうと、脱線しているとわかっていても、なかなか軌道修正ができないものです。ファシリテーターがいることにより、スムーズに話を本筋に戻すことができるので、会議やミーティングが滞りなく進み、議論の質も上がるでしょう。
新たなアイデアが生まれるきっかけになる
会議という場では、緊張してしまって発言できないという人もいるでしょう。また、良いアイデアを持っていても、上司の前では遠慮してしまうというケースもあると思います。
ファシリテーターが話しやすい雰囲気をつくり、適切な質問を投げかけることで、メンバーは提案や意見をしやすくなります。さまざまな意見や知識をぶつけ合うことで、新たなアイデアが生まれることもあるでしょう。通常の会議では見えなかった考えや価値観が、他のメンバーに影響を与えることもあるかもしれません。
このようなポジティブな効果を生み出すために、ファシリテーターは、メンバーの発言をただそのまま受け取るのではなく、心理面にも意識を向け、どのような考えからその発言に至ったのかを見極めなくてはなりません。
メンバーのやる気・モチベーションが向上する
会議やミーティングが長引いてしまうと、どうしても集中力・モチベーションともに下がってきてしまいます。ファシリテーターがいると、これらが高いうちに、短時間で効率よく意見をまとめることができるようになります。ほかのメンバーの発言から、よりモチベーションが引き出されることもあるでしょう。
前項でも述べたように、ファシリテーターは、メンバーの発言をそのまま受け取るのではなく、心理面を見極め、さらに深堀りしていくことが大切です。こうすることで、メンバーは「自分の意見がきちんと反映された」という納得感を得ることができます。この納得感が、次のモチベーションにもつながっていくのです。
ファシリテーターが担う6つの役割と取り組み方
ファシリテーターは、単なる「進行役」や「司会者」ではありません。具体的に、どのような役割を担うポジションなのでしょうか。ここでは、ファシリテーターの6つの役割と取り組み方について、1つずつ解説していきます。
1. スタートとゴールを明確にする
ファシリテーションの目的は、「ゴールに到達するために、メンバーの能力を最大限に引き出すこと」です。そのために、まずはスタートとゴールを明確にしましょう。これらがあいまいだと、何をファシリテーション(容易に・便利に)すればよいのかがわかりません。
先ほども述べたように、会議のゴールは「結論を出す」や「課題を解決する」ことですが、加えてメンバー全員の「納得感」を得ることが重要なポイントとなります。つまり、「合意形成」です。
合意形成の基本の4段階「合意形成のステップ」を紹介しましょう。
- 場の目的の共有……なぜこの会議やミーティングを行うのか
- アクションの理由の共有……どのようなアクションが必要か、およびその理由
- アクションの選択と合意……どのアクションを選択するのか
- 実行プラン・コミットの確認・共有……実行するために、具体的にどうするのか
①から順に合意を取って次のステップへ進むというのが基本ですが、ステップの省略は可能です。例えば、社内に新制度を導入することについて議論する場合、「社内で〇〇が課題となっている。これを解決するための制度が必要だ」というところまでメンバー全員が合意しているなら、①は省略され、スタートは②からになります。また、「企業の長期ビジョンの設定」のように大きな議題であれば、一度ですべてを決めることは難しいため、アイデアを出し尽くすこと(②)や、アクションの選択(③)までをゴールとし、複数回に分けて議論する場合もあります。
2. 参加メンバーのことを把握する
参加メンバーが、それぞれ何をどこまで知っている状態で会議に参加するのかを把握することは、前項の「スタート」地点を決めるうえでも重要です。特に他部署のメンバーも参加する会議やミーティングの場合は、部署間で保有情報に差があったり、方針や考え方が違ったりすることもありますので、コミュニケーションを取ってしっかりと把握しておきましょう。
以下、会議やミーティングをスムーズに進めるために、事前に確認しておくべきことの一例です。
- 今回の議題について知っていること・知らないこと
- 議題に対する考え・意見。
- 議論のキーパーソンと、その人の性格
- 参加者の関係性
3. 発言しやすい雰囲気をつくる
メンバーから意見を引き出すことも、ファシリテーターの役割です。発言しやすい雰囲気をつくるために、緊張した雰囲気が漂っているなら、いきなり本題に入るのではなく、参加者が興味のある話題から始めてみたり、アイスブレイクを導入したりして、まずは緊張をほぐしていきましょう。
本当は意見があるのに、自信がなかったり、遠慮してしまったりして、発言できていないということも考えられます。一人ひとりの様子を注意深く観察し、時には質問を投げかけるなどして、上手に意見を求めていきましょう。ファシリテーター自身も、メンバーの意見に対して何か思うこともあるかもしれませんが、メンバーの意見は否定をせずに受け止め、さらに深堀りして、本心を引き出すことが大切です。
4. 軌道修正する
発言が活発になってくると、話が脱線してしまったり、話の論点がズレてしまったりすることがあります。この時に速やかに軌道修正し、話を本筋に戻すことも、ファシリテーターの役割です。
ファシリテーターは、メンバーからただ意見を引き出すだけでなく、それらを構造的に整理しながら、議論を進めていかなければなりません。ホワイトボードなどを使って、論点を見える化するのも1つの方法です。
5. 時間を管理する
ファシリテーターがいたとしても、会議が長時間になれば、メンバーの集中力やモチベーションは下がってきてしまいます。そうなれば、議論の質まで落ちてしまうでしょう。短時間でスムーズに結論を出せるように、時間を管理することも、ファシリテーターの役割です。
先ほど、合意形成の基本の4段階「合意形成のステップ」を紹介しました。この4つのステップごとにタイムスケジュールを決めておき、時間を確認しながら進めていくようにしましょう。
6. 合意を形成する
方向性が見えてきたら、意見のすり合わせを行い、全メンバー員が納得できるような結論を出します。合意形成は、ファシリテーターのスキルが最も問われるステップです。
この時、意見が対立するようであれば、改めてゴールを再確認したり、質問を投げかけて視点を変えたりして、徐々に焦点を絞り込んでいきます。全員が納得できる結論が得られれば、チームの結束力も高まります。
対立なくスムーズに合意が形成できたなら、結論やアクションプランを確認したり、今回の話し合いの振り返りなどを行ったりして、次のモチベーションにつなげていきましょう。
ファシリテーションに不可欠な4つのスキルとは
ファシリテーションにはさまざまなスキルが求められます。なかでも、「理解力」「質問力」「論理的思考力」「傾聴力」は、必須といえるでしょう。それぞれが具体的にどのようなスキルなのか、1つずつ紹介していきます。
1. 理解力
理解力とは、ただ話を聞ける、文章が読めるということではありません。例えば、「よろしくお願いします」という一言は、前後の会話によって意味が変わってきます。「次回も仕事をください」のときもあれば、「できるだけ早く対応してください」という場合もあるでしょう。会話の流れや雰囲気から、伝えられたことの真の意味を正しく理解する力が「理解力」なのです。さらに、ビジネスシーンにおいては、次のアクションを迅速に起こせる力も求められます。
ファシリテーターは、会話の流れと雰囲気から、さまざまな発言の内容を瞬時に理解し、「〇〇ならあの人に振ったら話題が広がる」など、次のアクションを考えながら進行していかなければならないのです。
2. 質問力
質問力とは、不明点や疑問点を問いかける力のことです。生徒から先生への質問のように、ただ答えを求めるものではなく、ここでは、物事の理解や視野を広げるための質問のことをいいます。
質問には、「オープンクエスチョン」と「クローズドクエスチョン」があります。オープンクエスチョンとは、決まった答えがない質問です。例えば、「あなたの目標はなんですか?」「今後のビジョンを教えてください」など、回答者が自由に答えることができる質問をいいます。一方、クローズドクエスチョンは、明確な答えが決まっている質問です。例えば、「A~C案のうち、どれが良いと思いますか?」「彼の意見に賛成ですか?反対ですか?」のように、複数の選択肢が用意されている質問をいいます。
さまざまな意見を聞きたいときや発言を深堀りしたいときはオープンクエスチョン、論点をある程度絞っていきたいときはクローズドクエスチョンというように、うまく使い分けることが重要です。
3. 論理的思考力
論理的思考力とは、物事を整理し、筋道を立てて考える力のことです。ロジカルシンキングとも呼ばれています。ファシリテーションでは、さまざまな意見を整理し、構造化するスキルが必要になります。
メンバー全員の意見が出そろったら、次は論点を絞り込んでいく段階です。このとき、発言の内容だけでなく、感情や感覚、雰囲気など、言葉だけでは伝わりにくい要素を見える化することで、相互理解を深めることができます。この見える化する作業を、「グラフィックファシリテーション」といいます。
グラフィックファシリテーションでは、ピクトグラムやフローチャートを活用して、複雑な内容を構造化していきます。まずはファシリテーター自身が、それぞれの意見を整理して頭の中で構造化できなければ、見える化することは難しいでしょう。
4. 傾聴力
傾聴力とは、メンバーの話を真摯に聴く力のことです。発言者の方に顔や体を向ける、アイコンタクトを取る、相槌を打つなどして、こちらが「しっかり聞いている」という姿勢を示しましょう。こうすることで、本音で話しやすい雰囲気が生まれます。
また、発言の内容を繰り返したり、要約したりして、こちらの「理解」や「共感」を示すことも大切です。「自分の意見が正しく伝わった」という、納得感を得ることができます。
実際のファシリテーションの流れ
ファシリテーターがすべきことを、一連の流れを通して見てみましょう。今回は、ミーティングを開催することを想定して、「事前準備」「ミーティング中」「ミーティング後」の3段階に分けて解説していきます。
事前準備
効果的なファシリテーションを行うためには、事前準備が必要となります。ミーティング前に、以下の3点を決めておきましょう。
- 目的とゴール(Why)
- アジェンダ(What)※実行すべきこと(「議題」や「議事日程」など)
- ミーティングの進め方(How)
特に重要なのが、「目的とゴール」です。何のためのミーティングで、何に合意した状態をゴールとするのかを、明確に設定しておきましょう。これらをメンバーに共有するために、アジェンダが必要となります。アジェンダとは、議題や議事日程をまとめた資料のことです。目的・ゴールと合わせて、進め方(時間配分など)を記載しておけば、タイムキープもしやすくなります。
ほかにも、参加メンバーの情報を把握・共有することや、使用するツールの準備と確認、会場や備品の準備、フレームワークの準備なども行います。
また、ミーティングをスムーズに進めるために、ミーティング中のルール(グランドルール)も設定しておきましょう。以下、ルールの一例です。
- 意見を最後まで聞く
- 自分と異なる意見であっても批判しない
- わからないことは質問する
- 時間厳守
グランドルールは、事前に準備せずに、ミーティングのなかで参加メンバーとつくるという方法もあります。これについて、詳しくは後述します。
ミーティング中
ミーティングは、大きく4つのステップに分けて行います。それぞれにどの程度時間をかけるのか、タイムスケジュールもあらかじめ決めておき、参加メンバーに周知してから初めていきましょう。
ステップ1・ミーティングに参加する積極的な姿勢づくり
まずは、導入です。いきなり本題に入るとのではなく、まずは改めて今回のミーティングの目的と、開催するに至った経緯などを話し、メンバーにミーティングの意義を感じてもらいましょう。
先ほど、合意形成の基本の4段階「合意形成のステップ」でも解説したとおり、あらかじめ資料などを配布し、既にメンバー全員が合意しているのであれば、目的や経緯の共有は省略可能です。その場合は、緊張をほぐすためにアイスブレイクを取り入れたり、発言しやすい話題から入ったりするといいでしょう。
ステップ2・情報共有とメンバー同士の意見交換の促進
続いては、情報共有と意見交換の段階です。ファシリテーターからの情報提供は、長くなりすぎないよう、簡潔に伝えることを心がけましょう。ファシリテーターの話があまりにも長いと、メンバーの発言の機会を奪ってしまうことになりかねません。あらかじめ資料を配布しておくなど、工夫が必要です。
メンバー同士の意見交換は、このステップ2の段階では、意見の「質」よりも「量(網羅性)」を優先します。順不同で構わないので、とにかく議論を広げ、自由に発言してもらいましょう。
ときには的確な質問を投げかけたり、ファシリテーター自身が答え方をサンプルとして示したりして、意見交換を促していきます。
ステップ3・アイデアを整理し、深める
メンバー全員の意見が出揃ったら、これらを整理し、メンバー全員が話の構造が理解できるように「見える化」していきます。これにより、相互理解が深まります。
ホワイトボードに意見を書き出していくだけでも構いませんが、図解ツールを活用すると、視覚的にもわかりやすいでしょう。木が枝分かれするように問題を分解していく「ツリー型」、一連の流れを矢印でつなげていく「フロー型」、縦軸と横軸を設けて関係性を整理する「マトリックス型」など、さまざまなものがあります。
ステップ4・結論の決定と振り返り
最後に、意見をまとめて結論を出し、今回のミーティングの振り返りを行います。スムーズに結論が出れば良いのですが、多くの場合、意見の対立が起こります。対立が起こると、「それは〇〇だからできない」というように、「できない」理由ばかりが挙がりがちです。改めてミーティングの目的を示し、できない理由ではなく、「どうすればできるか」を話し合い、合意形成を図りましょう。
合意が形成できたら、結論やアクションプランを共有し、今回の話し合いを振り返ります。
ミーティング後
ミーティング後は、できるだけ早く議事録を作成し、参加したメンバーに共有します。今回決まったことや確認したことだけでなく、決まらなかったことや、次回に持ちこすことなどがあれば併せて記載します。次回までに誰が、何をしなければならないのかを、明確に示すことが大切です。
組織を成長させるファシリテーションのポイント
ファシリテーションの効果を最大限に発揮させるために、押さえておきたい3つのポイントを紹介します。
目的を共有する
繰り返しになりますが、会議やミーティングの目的を共有し、メンバー全員に理解してもらうことが大切です。メンバーが同じ方向を向いていなければ、話し合いをスムーズに進めていくのは難しいでしょう。
会議の場でいきなり目的を説明されても、その場で良いアイデアが浮かぶことは、なかなかないと思います。できればミーティングの開始前にメンバーに説明する、資料を配布するなどして、事前に意識を高めておくようにしましょう。
コミュニケーションを活性化させる
発言しやすい雰囲気をつくるために、メンバー同士のコミュニケーションを活性化させましょう。そのために、本題に入る前にアイスブレイクを導入するのも1つの方法です。アイスブレイクとは、緊張をほぐすための簡単なゲームなどのことで、自己紹介やクイズ、ちょっとした運動など、さまざまなものがあります。
しかし、いくらファシリテーターが話しやすい雰囲気をつくっても、良好な人間関係が構築できていない状態では、異なる価値観や意見を受け入れることが難しい部分もあります。やはり大切なのは、普段のコミュニケーションです。あまりにもコミュニケーションが不足していると感じる場合は、経営層や人事担当に相談し、社内コミュニケーションを活性化させる策を講じてもらいましょう。
グランドルールをメンバーとつくる
先ほど、実際のファシリテーションの流れの「事前準備」として、グランドルールをつくることを挙げました。これを事前に準備しておくのではなく、一種のアイスブレイクとして、会議の導入にメンバーと一緒につくるという方法もあります。
ルールに違反する者が出たときに、口頭で「ルール違反です」と伝えると、場の雰囲気が悪くなってしまうこともあります。メンバー全員で決めたルールをその場でリスト化し、見える位置に掲示しておけば、そっと指を指すだけで違反を伝えることができます。また、メンバーの賛同を得たルールなので、違反者は反論することもできないでしょう。
「貴重な会議の時間をルールづくりに充てたくない」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、発言しやすい雰囲気づくりにはとても有効です。事前に作成しておく場合も、メンバーの意見を取り入れて作成することをおすすめします。
研修を通して社員のファシリテート能力を向上させよう!
働き方改革やダイバーシティ化に伴い、社員のファシリテート能力(ファシリテーションの役割をこなす能力)を向上させたいと考えている経営者や人事担当者の方もいらっしゃることでしょう。先ほど、ファシリテーションに不可欠なスキルとして、「理解力」「質問力」「論理的思考力」「傾聴力」の4つを挙げました。これらは、一人で身につけることは難しいので、研修やセミナーに参加して学ぶことをおすすめします。
基本的な知識を座学で学ぶだけでなく、学んだことをすぐに実践できる模擬会議をプログラムに組み込むと効果的です。模擬会議では、さまざまな場面を想定して、「積極的な人」「否定ばかりする人」など、細かいキャラクターを設定すると、よりスキルを磨くことができるでしょう。
また、近年は日本でもテレワークが普及し、会議やミーティング、取引先との商談なども、オンラインで実施することも多くなりました。どうすればオンラインでも生産性や集中力を高めることができるのか、オンライン「ならでは」のポイントも、学んでいく必要があるでしょう。
ファシリテート能力をアップさせる研修
模擬会議とはいえ、最初は緊張してしまい、うまく学んだことが生かせない……という社員もいるでしょう。特に、不慣れなオンラインの場合や、ファシリテーター初心者の方は、なおさらではないでしょうか。模擬会議ではなく、簡単なゲームでも、社員のファシリテート能力は鍛えることができます。
株式会社IKUSA(以下、IKUSA)は、ファシリテーション研修に役立つ、さまざまなサービスを提供しています。そのなかから、ファシリテート能力の向上につながるサービスを、いくつか紹介します。
城攻め-SHIROZEME-
「城攻め-SHIROZEME-」は、体験型合戦研修IKUSAのプランの1つです。各チームに小判が与えられ、「築城」と「城攻め」を行ったのち、最終的に小判が多く残ったチームが勝利となります。
- 築城フェイズ
小判で資材(段ボール)を購入し、自分たちのお城を築城します。 - 城攻めフェイズ
スポンジの刀を使ったチャンバラ合戦を行います。
小判は武器を増強したり、資材を買い占めて相手チームに高値で売ったりすることも可能です。また、城攻めにより相手チームのお城に隠されていた巻物を奪ったり、相手を全滅させたり、相手チームの大将を倒すことで、小判を獲得することもできます。どのように小判を使い、獲得するのか、意見をまとめて戦略を組み立てていく力が問われます。
城攻めでは、軍議と合戦を繰り返すなかで、楽しみながらPDCAサイクルを体験できます。また、終了後にはフィードバックの時間が設けられているので、振り返りの大切さや、次回へ向けてのモチベーションの高め方も学ぶことができるでしょう。
合意形成研修 コンセンサスゲーム ONLINE
「合意形成研修 コンセンサスゲーム ONLINE」は、Zoomなどのビデオチャットツールを使用して、オンラインで行うコンセンサスゲームです。あるシチュエーションにおけるアイテムの優先順位を、チームで話し合って決めていきます。
ゲームを通して、会議やミーティングのゴールである「納得度の高い合意形成」を学ぶことができます。制限時間内にメンバーの意見をまとめ、結論を導き出さなくてはならないので、論理的思考力が鍛えられるでしょう。また、互いが協力せざるを得ない構造となっているので、自然とコミュニケーションも活発になります。
プランは、ベーシックな「ジャングルサバイバル」と、防災も学べる「帰宅困難サバイバル」の2種類で、研修内容に応じてカスタマイズすることも可能です。
リモ探
「リモ探」は、Zoomなどのビデオチャットツールを使用して、オンラインで行うチームビルディングゲームです。まずは参加者を複数の大グループに分け、そのなかでさらにいくつかの小グループをつくります。小グループごとに異なる情報が与えられるので、その情報をうまくチーム(大グループ)内で共有し、「あるミッション」のクリアを目指すというゲームです。アメリカの心理学者が提唱した、「ジグソー法」という学習方法がもとになっています。
1チームは最大20人。大人数の意見をまとめなくてはならないので、ファシリテーターやリーダーの存在が重要となります。情報を集め、整理し、構造化していくなかで、論理的思考力が鍛えられるでしょう。
プランは、研修向けの「消えた資料と不明な持ち主」、エンタメ要素の強い「関ヶ原凸大軍議」の2種類です。
まとめ
ファシリテーションは、単なる「進行役」ではありません。スムーズに結論を出し、かつメンバー全員の納得感を得るために、「理解力」「質問力」「論理的思考力」「傾聴力」などの、さまざまなスキルが必要となります。いずれも短期間で身につくものではありませんが、ファシリテート能力は、社内の会議やミーティングだけでなく、商談や外部との意見交換の場でも役立ちます。ファシリテーターを任された人でなくとも、ビジネスパーソンとして身につけておきたい能力の1つです。
謎解きコンシェルジュは、謎解きや推理ゲームなどのイベントを通して貴社の課題を解決します。チームビルディングができる室内型謎解き「謎解き脱出ゲーム」や周遊を促す「周遊型謎解きゲーム」など、選べるパッケージサービスは30種類以上。オリジナルイベント・研修のご相談も承っています。サービス一覧資料は下記より無料でダウンロードいただけます。
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「あそぶ社員研修」は、受講者全員の主体性を高め、置いていかれる社員を作らない講義・アクティビティ一体型の研修プログラムです。講義による学びの定着を促し、翌日からの業務に役立てることができます。
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