今日から使えるホテルの集客施策12選！失敗しない戦略の立て方まで解説

新しい集客の切り口が見つからなかったり、既存の施策がマンネリ化して、成果が伸び悩んだりはしていませんか。競争が一段と激しくなっているホテル業界でお客様に選ばれ続けるためには、時代の変化に合わせた効果的な集客施策を展開することが欠かせません。

本記事では、今日から活用できる12の集客施策をご紹介します。さらに、施策の成功確率を高めるための戦略の立て方や、多くのホテルが陥りがちな失敗の原因まで、幅広く解説します。

一口にホテルの集客といっても、その方法は多岐にわたります。やみくもに施策を進めるのではなく、自社の目的やターゲットに合わせて、適切な打ち手を組み合わせることが成果への近道です。

この章では「オンライン」「オフライン」「リピーター獲得」の3つのカテゴリーに分けて、それぞれの施策の目的、具体的な取り組み方、そして成功のためのポイントを詳しく解説します。

オンラインで集客する方法

デジタルが主流となった今、オンラインでの取り組みは集客の中心的な手段といえます。ここでは、WebサイトやSNSなどを活用し、潜在顧客に効率的にアプローチするための具体的な方法を見ていきましょう。

予約サイトのUI/UXを改善する

魅力的な広告でお客様を公式サイトへ誘導できても、予約画面が使いにくければ、お客様は途中で離脱してしまいます。これをマーケティングでは「カゴ落ち」と呼び、売上改善に直結する重要な課題です。お客様の8割以上がスマートフォンで予約するといわれる現代では、スマホでの快適な操作性（UI/UX）は欠かせません。

予約画面の快適性を確認する際には、次のようなポイントを確認してみましょう。

【スマホ予約サイト 改善チェックリスト】

• 予約完了までのステップは3回以内か
• 住所や電話番号など、必須ではない項目まで入力させていないか
• 空室状況が一目でわかるカレンダーになっているか
• 複数の宿泊プランの違いが、スクロールせずに比較できるか
• クレジットカードだけでなく、PayPayや楽天ペイといった人気のスマホ決済に対応しているか

これらの項目を一つずつ改善するだけでも、予約率は大きく向上する可能性があります。まずはGoogle Analyticsなどの分析ツールを使い、お客様がどのページで最も離脱しているのかを特定することから始めましょう。

検索からの流入を増やす

「（地域名） ホテル」「（駅名） ランチ」といった検索キーワードで上位に表示させるSEO（検索エンジン最適化）は、広告費をかけずに安定した集客を実現する施策です。SEOの基本は、お客様が検索する可能性の高いキーワードを予測し、その答えとなる情報を公式サイトに用意することです。

すぐに始められる具体的なアイデアには、以下のようなものがあります。

【すぐに始められるコンテンツSEOのアイデア】

• 宿泊記ブログ：「新客室に泊まってみました」「当ホテル自慢の朝食ビュッフェ徹底レポート」など、スタッフがお客様目線で体験を発信することで、リアルな魅力を伝えられる
• 周辺観光ガイド：「ホテルから徒歩5分で行ける、地元民おすすめの居酒屋」「雨の日でも楽しめる周辺の観光スポット3選」など、旅行者が本当に知りたい、予約サイトには載っていない情報を提供する

大切なのは、ただ情報を並べるのではなく、「このホテルに泊まれば最高の体験ができそうだ」と感じてもらえるような、質の高いコンテンツを継続的に発信していくことです。

Googleマップで上位表示を狙う

旅行先で「近くのホテル」と検索するお客様にとって、Googleマップの情報は宿泊先選びの大きな判断材料となっています。マップ検索で上位に表示させるMEO（マップエンジン最適化）は、予約意欲の高い顧客に効果的にアプローチできる手法です。

Googleビジネスプロフィールの情報を充実させることで実現できますが、そのなかでも特に重要なのは「口コミ」「写真」「最新情報」の3つです。

【今日からできるMEOアクション】

• 口コミへの24時間以内の返信：ポジティブな口コミには感謝を、ネガティブな口コミには誠実な対応を示すことで、信頼できるホテルであることをアピールできる
• 写真の鮮度を保つ：プロが撮影した美しい公式写真だけでなく、スタッフが撮影した季節の料理やイベントの様子、客室からの眺めなど、親近感の湧くリアルな写真を月に1〜2回程度追加する
• 「最新情報」の活用：キャンペーンやイベント情報、周辺の交通情報などを週に1回程度更新する

SNSの投稿でファンを作る

SNSは、ホテルの世界観を伝え、お客様と直接やり取りを行うことでファンへ育てられるプラットフォームです。各SNSの特性を理解し、ターゲット顧客に合わせて使い分けましょう。

Web広告を出稿する

ターゲットを絞って短期間で的確に情報を届けたい場合にWeb広告は有効です。少額から始められるのも魅力のひとつです。

• リスティング広告：「（地域名） ホテル 記念日」「（地名） ワーケーション」など、具体的なキーワードで検索しているお客様に広告を表示させ、直接アプローチできる
• SNS広告：年齢、性別、興味関心などでターゲットを細かく設定し、「結婚記念日を祝いたい30代カップル」「女子会プランを探している20代女性」といった層に狙いを定めて広告を配信する

インフルエンサーを活用する

信頼するインフルエンサーが発信する宿泊体験レポートは、広告以上に説得力を持ち、高い宣伝効果が期待できます。成功させるためには、フォロワー数だけでなく、ホテルのコンセプトと親和性の高いインフルエンサーを起用することが大切です。依頼する際は、単に宣伝をお願いするのではなく、ホテルの魅力を深く理解してもらい、本人の言葉で伝えてもらえる関係を築きましょう。

オフラインで集客する方法

オンラインでの取り組みとあわせて、地域とのつながりや直接的なコミュニケーションを活かしたオフライン集客も、ホテルの信頼性を高めるうえで欠かせません。ここでは、オフラインで集客するおすすめの方法を4つ紹介します。

旅行代理店と連携する

団体旅行やツアー客を安定的に呼び込むには、旅行代理店との連携がおすすめです。大手代理店に加え、近年では「サイクリングツアー専門」など、テーマに特化した小規模な旅行代理店も増えています。自社のホテルのコンセプトに合う代理店と連携することで、熱量の高い、新たな顧客層の開拓にもつながるでしょう。

地域住民が訪れるイベントを実施する

地域住民が訪れるイベントを実施すると、ホテルを「宿泊する場所」から「地域の交流拠点」へと広げられて、宿泊以外の収益源を確保できます。さらに、イベントの様子をSNSで発信することにより、オンライン施策との相乗効果も期待できます。

【イベント企画のアイデア例】

• グルメイベント：季節のデザートビュッフェ、ビアガーデン、ワインメーカーズディナー
• 文化イベント：地元アーティストのジャズコンサート、伝統工芸のワークショップ
• 体験型アクティビティ：参加者が一体となって楽しめる謎解きゲーム、チーム対抗のクイズ大会

近隣の観光施設と提携する

お客様の旅行体験を豊かにするため、近隣の施設と連携するのもおすすめです。美術館や工房、人気の飲食店などと提携し、「入場券付き宿泊プラン」や共同イベントを展開します。貴館だけのオリジナルプランは、ホテルの付加価値を一段と高めます。

近隣の観光施設との提携を成功させるには、相手側にも送客や宣伝といったメリットがある関係を築くことが大切です。

駅の構内や観光案内所にポスターを貼る

旅行者が立ち寄る駅や観光案内所へのポスター掲出は、信頼性と安心感を与えるアプローチ方法です。情報を詰め込みすぎず、魅力的な写真と簡潔なキャッチコピーで、一瞬で魅力が伝わるようにしましょう。

ポスターに特典付き専用ページへ誘導するQRコードを掲載すれば、オフラインからオンラインへの動線を設計できるだけでなく、施策の効果測定も可能になります。

リピーターを獲得する方法

安定したホテル経営のためには、一度利用していただいたお客様に「また訪れたい」と感じてもらい、ファンになってもらう必要があります。ここでは、リピーターを獲得するための代表的な施策を2つ紹介します。

会員限定の割引クーポンを配布する

次回の宿泊で利用できる割引クーポンは、再訪を促すきっかけになります。会員プログラムを導入し、会員だけが受け取れるお得な情報を提供し、お客様との継続的な関係を築きましょう。割引に加えて、「アーリーチェックイン無料」や「ウェルカムドリンクサービス」など、価格以外の「特別感」を演出する特典を組み合わせると、満足度をさらに高められます。

誕生日や記念日を祝う特典を用意する

お客様の誕生日や結婚記念月に、お祝いのメッセージカードやささやかなプレゼントを用意すると、お客様に「自分は大切にされている」と感じてもらえます。このような一人ひとりに寄り添った対応が、ホテルへの愛着を育て、結果的にお客様の生涯価値（LTV）を高めることにつながります。

さまざまな施策に取り組んでいるにもかかわらず、思うような成果が得られない場合があります。施策そのものが悪いのではなく、施策の前提となる「土台」が揺らいでいるからかもしれません。

ここでは、施策の効果を妨げやすい3つの根本的な要因について、自社の状況と照らし合わせながら確認していきましょう。

• 競合・市場を見誤っている
• 顧客の本当のニーズを捉えきれていない
• 自社の「一番の売り」を伝えられていない

競合・市場を見誤っている

自社が置かれている競争環境を正しく認識できていないと、施策が的外れになりやすくなります。特に「競合」を狭く捉えすぎてしまうことは大きな落とし穴です。

たとえば、道路を挟んだ向かいの同価格帯のホテルAの料金だけを毎日確認し、一喜一憂していたとします。しかし、実際には少し離れた駅に新しくできた、デザイン性の高いライフスタイルホテルBや、快適な長期滞在が可能な民泊Cと比較されているかもしれません。

お客様は、私たちが想像する以上に幅広い選択肢を比較検討しています。競合とは、単に価格や立地が似ている施設だけではなく、お客様が「今回の滞在目的を叶えるために、貴館の代わりとして検討するであろうすべての選択肢」のことです。価格帯が異なるホテルや、ホテル以外の宿泊施設も含まれる場合があります。

顧客の本当のニーズを捉えきれていない

「お客様はきっとこうだろう」という思い込みで施策を考えてしまうと、顧客の真のニーズとの間にズレが生じやすくなります。現代のお客様は、単に「宿泊する場所」を予約しているのではなく、その先にある「理想の体験」や「課題の解決」に価値を感じています。

【顧客ニーズの具体例】

• 出張のビジネスマン：求めているのは「安い部屋」ではなく、「翌日の重要な会議に万全の体調で臨める環境」のことがある。そうであれば、高速Wi-Fiや広いデスク、遮音性の高い客室が求められる。
• 記念日のカップル：求めているのは「豪華なディナー」だけでなく、「二人だけの忘れられない思い出」かもしれない。その場合、美しい夜景が見える部屋の確約や、スタッフからの温かいメッセージが大きな価値となる。

お客様アンケートで「満足」と回答していても、必ずしも本当に心から満足しているとは限りません。SNSでどのような写真が投稿されているか、口コミでどのような言葉が使われているかを分析し、顧客が本当に求めている価値は何かを深く理解することが重要です。

自社の「一番の売り」を伝えられていない

そして最も重要な原因が、自社の「一番の売り」が明確になっていない、またはお客様にそれを伝えられていないことです。「アットホームな雰囲気」「清潔な客室」「駅近で便利」といった表現は、多くのホテルが掲げているため差別化にはつながりません。お客様にとって「あなたを選ぶ理由」になるものを打ち出す必要があります。

自社の一番の売りを見つけるためには、自社の特徴に対して、「それはお客様にどんな価値をもたらすのか？」と自問自答してみるのがおすすめです。

【自問自答の例】

「うちは朝食が自慢です」→ それは、どんな価値？ →「地元の契約農家から毎朝届く新鮮な野菜を使った、30種類のビュッフェです」→ さらに？ →「シェフが目の前で作るオムレツは、旅行サイトの朝食ランキングで3年連続エリアNo.1に選ばれました」

ここまで具体的に伝えられれば、それは強力な「一番の売り」になります。「なぜお客様は、他のホテルではなく、私たちのホテルを選ぶべきなのか？」という問いに対する明確な答えを持つことが、すべての集客活動を成功に導くための基盤となります。

失敗の原因を理解したら、次は成功へと導くための戦略的な考え方を理解しましょう。4つの段階に沿って進めることで、施策に一貫性が生まれ、効果を最大まで高められます。

ご紹介する集客戦略の立て方は、以下のとおりです。

1. 自社が狙うべきターゲットと市場を明確にする
2. コンセプトを設計する
3. 施策の優先順位を決める
4. KPIを設定する

1．自社が狙うべきターゲットと市場を明確にする

最初のステップは、思い込みではなく客観的なデータや事実に基づいて、自社の立ち位置を把握することです。具体的には「顧客（Customer）」「競合（Competitor）」「自社（Company）」の3つの視点から、自社の立ち位置を分析します。どのようなお客様がいて、競合は何を強みとしているのかを考え、その中で自社の魅力が最も活きる領域を見極めて、狙うべき市場とターゲットを明確にしましょう。

2．コンセプトを設計する

次に、ターゲットに対して「私たちのホテルは、あなたにこのような特別な価値を提供します」という、ホテルの核となるコンセプトを設計します。たとえば「心温まるホテル」では抽象的ですが、「記念日を最高の一日にする、サプライズの魔法がかかるホテル」とすれば、より具体的でターゲットに響く表現になります。コンセプトは、あらゆる施策の判断基準となるため、ここで具体的に設計しておきましょう。

3．施策の優先順位を決める

コンセプトを実現するために、数ある施策の中からどれを優先すべきかを決めていきます。限られた予算と人員で最大の効果を得るため、各施策を「成果への貢献度」と「費用や手間の少なさ」の2つの軸で評価します。これにより、まず着手すべき「少ない労力で大きな成果が期待できる施策」が明確になり、効率的に計画を進められます。

4．KPIを設定する

最後に、選んだ施策が成功したかどうかを客観的に判断するため、具体的なKPI（重要業績評価指標）を設定します。たとえば「公式サイトを改善する」という抽象的な目標ではなく、「公式サイトの予約完了率を3か月で2%から3%に向上させる」といった、誰が見ても達成度がわかる具体的な数値目標を立てることがポイントです。それにより、施策の成果をデータで示せるようになり、次の改善につなげられます。

ここでは、ホテルの集客についてよく寄せられる質問とその回答を紹介します。

ホテルの集客に使える補助金や助成金はありますか？

はい、補助金・助成金制度を活用できる可能性があります。代表的なものに、新しい予約システムなどを導入する際の費用を支援する「IT導入補助金」や、新たな販路開拓に取り組む「小規模事業者持続化補助金」などが挙げられます。制度の内容や公募時期は変更されることがあるため、Webサイトなどで最新情報を確認することをおすすめします。

少ない予算で始められる効果的な集客施策は何ですか？

限られた予算で成果を出すためには、費用を抑えて実行できる施策から着手するのがよいでしょう。特に「Googleビジネスプロフィールの最適化（MEO対策）」や「SNSアカウントの運用」、「メディア向けプレスリリースの配信」は、費用をあまりかけずに取り組めるため、最初に取り組む施策として適しています。

集客コンサルタントに依頼するメリット・デメリットを教えてください。

集客コンサルタントに依頼するメリット・デメリットは、以下のとおりです。

本記事では、今日から使える12の具体的なホテルの集客施策に加え、施策が失敗する根本原因、そして成功確率を高めるための戦略の立て方まで、幅広く解説しました。

最も大切なのは、まず自社の現状を正しく把握し、「誰に、どのような価値を届けるのか」という戦略の軸を明確にすることです。戦略の軸が定まれば、おのずと優先すべき施策も見えてきます。

また、集客は一度の取り組みで完結するものではなく、常に改善を積み重ねていくことが成果につながります。小さな取り組みでも継続することで大きな効果を生み出すことが可能です。

この記事で紹介した施策や戦略の考え方が、貴館の魅力をより多くのお客様に伝え、選ばれ続けるホテルとなるための一助となれば幸いです。

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