目次
企業が発展していくためには、「マネジメント」は不可欠な要素です。しかし、「マネジメントとは何か」をしっかりと説明できる人は、意外と少ないかもしれません。
本記事では、マネジメントの意味や種類、必要性、リーダーシップとの違い、構成要素を、マネジメント初心者の方にもわかりやすく解説します。そのうえで、マネジメント力を高める方法、マネジメントの役割と成功ポイント、マネージャーに多い悩みとその解決方法、今後マネジメントに求められるものや、知っておきたい考え方についても紹介します。
マネジメント力は、トレーニングによって高めていくことが可能です。本記事では、マネジメント研修におすすめのサービスも併せて紹介していますので、ぜひ最後までお読みください。
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マネジメントとは
もともと「マネジメント(management)」とは、「経営」や「管理」を意味する英単語です。しかし組織や企業においては、もっと広い意味で用いられています。マネジメントの定義にはさまざまなものがありますが、一般的に認識されているのは、ピーター F. ドラッカーによる定義です。ドラッガーは、自身の著書『マネジメント』(1973年)の中で、「マネジメント」と「マネージャー」を、以下のように定義しました。
- マネジメント:組織に成果を上げさせるための道具・機能・機関
- マネージャー:組織の成果に責任を持つ人物
ヒト・モノ・カネなどの経営資源を効率的に活用し、リスク管理をしながら目標達成を目指すことを「マネジメント」といい、それを遂行する人を「マネージャー」といいます。
ドラッガーは、オーストリア人の経営学者です。「マネジメントの父」「20世紀の知的巨人」とも呼ばれています。ドラッカーのマネジメント論が初心者にもわかりやすくまとめられている「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」(2009年刊行)は、日本でもベストセラーとなりました。
マネジメントの必要性
なぜ、企業にはマネジメントが必要なのでしょうか。それは、マネジメントは企業の持続的な発展のために欠かせないものだからです。マネジメントには、大きく3つの役割があります。
組織が果たすべき目標を設定し達成する
世間から求められている役割を組織が把握し、的確な目標を設定して達成を目指すために、マネジメントが不可欠です。
働く人たちを生かす
多くの人が、人生のほとんどを、企業などの「組織」のなかで過ごしています。仕事を通じて「自己実現」できるように、社員一人ひとりに活躍の機会を与え、成果の最大化を図らなければなりません。
社会に貢献する
企業は経営者や株主のものではなく「社会のためにある」ものだと、ドラッカーは考えています。自社の利益向上だけでなく、社会に貢献することが企業としての責任なのです。
3つめの「社会貢献」は、自社の業績向上のためだけでなく、社会全体に良い影響を与えるために行う事業を意味しています。企業としての責任を果たすために、マネジメントが必要なのです。
3つの階層別マネジメント
1955年、アメリカの経営学者 ロバート・L・カッツは、論文『スキルアプローチによる優秀な管理者への道(原題: Skills of an effective administrator )』を発表しました。これによると、マネジメントには、「トップマネジメント」「ミドルマネジメント」「ロワーマネジメント」という3つの階層があり、階層ごとに求められる能力も異なるとされています。それぞれについて、詳しく見ていきましょう。
トップマネジメント
トップマネジメントとは、経営トップ層(取締役、常務、専務、執行役員など)によるマネジメントです。組織の経営方針を決定し計画を立てる、部署ごとの運営方針を決定するなど、最終的な判断を下し、その判断に対して責任を負います。
- 求められる能力:強力なリーダーシップ、コンセプチュアルスキル(物事の大枠を理解する能力)など
ミドルマネジメント
ミドルマネジメントとは、中間管理職(支店長、部長、課長、係長など)によるマネジメントです。組織のミッションを達成する、部下の育成、職場環境の改善など、経営トップ層と現場をつなぐ役割があります。
- 求められる能力:コミュニケーションを円滑にするためのヒューマンスキル(チームの一員としてメンバーをまとめる能力)など
ロワーマネジメント
ロワーマネジメントとは、業務管理者(主任、係長、現場リーダー、チーフなど)によるマネジメントです。現場で直接社員を指導する、オペレーションや進捗管理を行うなど、目標を達成するためにチームをまとめる役割があります。
- 求められる能力:業務を確実に遂行するためのテクニカルスキル(業務管理に必要な専門知識、分析能力など)
業務ごとに求められるマネジメントの種類
マネジメントにはさまざまな種類があり、担当する業務によっても、求められるものは変わってきます。ここでは、「組織運営」「人材管理」「メンタルヘルス対策」の3つの業務の範囲別に、代表的なものをいくつか紹介します。
組織運営
チームマネジメント
チームマネジメントとは、チーム全体をまとめるためのマネジメントです。具体的には、行動計画を立てる、部下との円滑なコミュニケーションを図るなどがあります。主に中堅社員やチームリーダーに求められる手法です。
ナレッジマネジメント
ナレッジマネジメントとは、個人が持つ知識・経験・スキルを組織内で共有し、組織全体のパフォーマンス向上を図るマネジメントです。マニュアルを作成する、ナレッジマネジメントシステムと呼ばれるツールを活用するなどの方法があります。
プロジェクトマネジメント
プロジェクトマネジメントとは、組織内でプロジェクトを成功させるためのマネジメントです。目標と運営計画の立案、プロジェクトにかかわる人員配置、スケジュール管理などを行います。
人材管理
タレントマネジメント
タレントマネジメントとは、個人のスキルを的確に把握し、適切な人材配置や人材育成を行い、組織の成長と業務効率化を目指すマネジメントです。さまざまなやり方があり、タレントマネジメントシステムや性格診断など、実践・管理に役立つツールもリリースされています。
パフォーマンスマネジメント
パフォーマンスマネジメントとは、個人のスキル・モチベーションを引き出しながら、同時に目標達成を目指すマネジメントです。マネージャーは個人の目標を一緒に考え、行動を見守り、適切な評価・フィードバックを行います。
モチベーションマネジメント
モチベーションマネジメントとは、個人に動機づけを行い、行動を促すマネジメントです。モチベーションが上がらない・維持できない要因を見極め、報酬を与える、人事評価制度を見直す、職場環境を改善するなどのアプローチを行います。
メンタルヘルス対策
アンガーマネジメント
アンガーマネジメントとは、円滑なコミュニケーションのために、自身の怒りの感情をコントロールするためのマネジメントです。怒りの感情を客観的に分析して要因を把握し、それに伴う行動の抑制を習慣化していきます。
ストレスマネジメント
ストレスマネジメントとは、自身のストレスをコントロールし、パフォーマンス向上を目指すマネジメントです。ストレスの要因を根本から解消してストレスそのものをなくす方法や、考え方を変えたり、趣味などで発散させたりして、ストレスとうまくつきあっていく方法があります。
メンタルヘルスマネジメント
メンタルヘルスマネジメントとは、精神面の健康を保つためのマネジメントです。ストレスマネジメントに近いものもありますが、メンタルヘルスやストレスについて知識を深めてもらうために、ラインケア研修やハラスメント防止研修などを行います。
マネジメントとリーダーシップの違いとは
マネジメントと混同しがちな言葉に、「リーダーシップ」があります。この2つの大きな違いは、「目的」と「対象」です。
まずは、目的から比較してみましょう。マネジメントの目的は、「成果を上げるために、組織やチームを管理すること」、一方リーダーシップの目的は、「チームのメンバーに方向性を示し、率いていくこと」です。
次に、対象を見てみましょう。マネジメントの対象は、経営資源(ヒト・モノ・カネ)ですが、リーダーシップのヒト(人材)のみを対象としています。
また、リーダーシップはどんな目標・ビジョンを達成するために(What)、チームをどの方向に導いていくか(Where)という点に重点が置かれていますが、マネジメントはこれに加えて、いつ(When)。誰に(Who)どのような(How)ことをすれば、目標・ビジョンを達成できるかという、具体的な戦術立てることも求められます。
つまりリーダーシップも、マネジメントに必要な能力の1つなのです。
マネージャーとリーダーの違いとは
マネジメントとリーダーシップの違いをより理解するために、それぞれを遂行する者(マネージャー、リーダー)の主な仕事の違いを見てみましょう。
マネージャーの主な仕事
- 組織づくり
メンバー一人ひとりの能力を把握し、長所を活かし短所を補い合えるような組織づくりを行います。 - 目標設定
組織やチーム全体の目標だけでなく、短期・長期の目標、メンバー一人ひとりの目標、コンプライアンスやガバナンスについての目標など、さまざまな目標を設定します。 - 人材育成
目標の達成と企業の持続的な成長のために、メンバーを正しい方法で育成します。また、マネージャー自身も能力開発に取り組むことが重要です。 - 評価・フィードバック
適切な評価とフィードバックを行います。これにより、業務効率や生産性、メンバーのモチベーション、定着率などが向上し、組織全体の業績向上につながります。
リーダーの主な仕事
- 明確なビジョンを示す
マネージャーが設定した目標を達成するためには、具体的なイメージが必要です。メンバー一人ひとりが理解できるよう、明確なビジョンを示します。 - 信頼関係の構築
信頼関係がなければ、チーム全員で同じ方向に進んでいくことはできません。積極的にコミュニケーションをとり、信頼関係を構築していきます。 - 模範になる
行動が伴っていないリーダーには、メンバーはついてこないでしょう。日頃から模範となるような行動を心掛け、目標達成するという意思や情熱を示します。 - 生産性を向上させる
個々の能力を伸ばす、新しい情報や方法を取り入れるなどして、目標達成のためにチームの生産性を向上させていきます。
マネジメントの仕事に求められる力とは
マネジメントの仕事を遂行するためには、「マネジメント力」が必要となります。マネジメント力とは、経営資源(ヒト・モノ・カネ)を効果的に活用し、成果を最大化する力のことです。
具体的には、「情報を提供する力」「情報を収集する力」「判断力・行動力」「人材を育成する力」が求められます。
情報を提供する力
「情報」には、業界動向や顧客ニーズ、自社の戦略や具体策などの「戦略情報」と、組織・チームの目標やビジョン、役割責任などの「役割情報」の2種類があります。マネージャーには、これらをメンバーに明確に示す力が必要です。
情報を収集する力
役割情報を収集するためには、経営トップ層や部門間との連携が不可欠です。また、マネージャーは目標達成のために、メンバーの進捗状況も把握しなければなりません。情報収集のためには、コミュニケーション能力も必要となります。
判断力・行動力
目標や計画を決定する、評価基準を明確にしてフィードバックを行う、メンバー同士で対立が起これば適切な措置を講ずるなど、判断を下し、即時に行動に移せる力が必要です。
人材を育成する力
業務のノウハウを伝授したり、成長の機会を与えたりするだけでなく、評価・フィードバックや動機付けにより、モチベーションを高める力も求められます。
マネジメント力の構成要素
具体的に、マネジメントにはどのようなスキルが求められるのでしょうか。マネジメントを「トップ」「ミドル」「ロワー」の3つの階層に分けたロバート・L・カッツは、必要なスキルとして①コンセプチュアルスキル、②ヒューマンスキル、③テクニカルスキル の3つを挙げています。
また、上記に加えて、マネジメントに欠かせないといわれるのが④目標管理スキル、⑤進捗管理スキル です。
ここでは、マネジメント力を構成するこの5つのスキルについて、1つずつ解説します。
コンセプチュアルスキル
コンセプチュアルスキルとは、概念化能力ともいわれるスキルです。知識・情報などを組み合わせて複雑な事情を概念化していくことで、物事の大枠を理解する力のことをいいます。具体的には、理論的に考える力、問題を解決する力、応用力などが挙げられます
コンセプチュアルスキルは、すべてのマネージャーに求められるスキルですが、特にトップマネジメントにおいて重要であると考えられています。
ヒューマンスキル
ヒューマンスキルとは、組織・チームのメンバーと信頼関係を築き、全体をまとめ上げて引っ張っていくスキルのことです。具体的には、コミュニケーション能力、プレゼンテーション能力、リーダーシップ能力などが挙げられます。
ヒューマンスキルも、すべてのマネージャーに求められるスキルですが、特にミドルマネジメントにおいて重要であると考えられています。
テクニカルスキル
テクニカルスキルとは、業務遂行能力。専門的な知識、分析能力、テクニックなどのことです。ビジネスパーソンに共通して求められる「汎用スキル」、業界や職種によって求められる「専門スキル」、さらに高度な「特化スキル」の3種類に分けられます。以下、それぞれの一例です。
- 汎用スキルの例
PCスキル、ビジネスマナー、文書作成スキル、PDCAを回す能力 など - 専門スキルの例
営業職:商品知識、プレゼンテーション能力 など
事務職:電話・来客対応、事務処理能力 など
経理職:会計スキル、簿記知識 など - 特化スキルの例
複数の言語が話せる、三ツ星レストランでシェフを務めていた など
テクニカルスキルも、すべてのマネージャーに求められるスキルですが、特にロワーマネジメントにおいて重要であると考えられています。
目標設定スキル
目標設定スキルとは、具体的で明確な目標やビジョンを設定するスキルのことです。組織・チーム全体の目標だけでなく、メンバー一人ひとりの能力や意欲に合った目標を与え、達成に至るまでのプロセスを考えます。また、設定した目標は、メンバーがしっかりと理解できるように正しく伝えることが大切です。
進捗管理スキル
進捗管理スキルとは、設定した目標が予定通りに遂行できるように、スケジュールを管理するスキルのことです。細かく管理したほうが能力を発揮できる人、ある程度任せたほうが能力を発揮できる人など、メンバーによって適した管理の仕方は違います。個人の特性を見極め、それぞれに合わせた管理を行いましょう。
マネジメント力を高める方法4選
マネジメント力は、日頃から少し意識を変えることで高めていけます。ここでは、マネジメント力を高める具体的な方法を、4つの分野に分けて紹介します。
現状分析力・問題解決力を高める
現状分析力・問題解決力を高めるためには、「ディズニーストラテジー」という3つの視点を持つ方法が効果的です。世界的に有名なウォルト・ディズニーは、この方法でアニメーション制作の夢を実現させたといわれています。
- ドリーマー……夢を描く
- リアリスト……計画を立てる
- クリティック……問題点・リスクを考える
まず「ドリーマー」では、現実に捉われずに、実現したい夢をそのまま描きます。そして「リアリスト」で、描いた夢を実現する計画を現実的に考え、「クリティック」で、その計画に問題点やリスクがないかを考えるという方法です。
プロジェクトマネジメント力を高める
プロジェクトマネジメント力を高めるためには、「ポジションチェンジ」という方法が効果的です。通常とは違う別の視点(ポジション)で物事を考えることで、問題解決の糸口や、優先すべき点が見えてくることがあります。
例えば、商品をリニューアルするとしましょう。自社の社員としてではなく、顧客の視点で考えることで、「もっとこうだったら使いやすいのに」というように、改善点が見つかりやすくなります。
部下の個人目標を設定するなら、上司としての視点だけでなく、部下目線で考えてみましょう。もっと優先して伸ばすべき部分などが見つかることもあるかもしれません。
リーダーシップを高める
先に述べたように、リーダーシップもマネジメントに欠かせない要素の1つです。これを高めるためには、まず「リーダーシップとは何か」を深く理解する必要があります。
例えば、「PM理論」は、有名なリーダーシップ行動論の1つです。この理論では、リーダーシップはPとMの2つの能力要素で構成され、どちらも高い状態が望ましいとしています。
- P(Performance function:目標達成機能)
目標や計画の設定、メンバーへの指導 など - M(Maintenance function:集団維持機能)
メンバーの相談にのる、コミュニケーションの活性化を図る など
ほかにも、リーダーシップにはさまざまな理論や定義、種類があります。本を読んだり研修を受けたりして、理解を深めましょう。
コミュニケーションスキルやコーチングスキルを高める
コミュニケーションスキルやコーチングスキルを高めるためには、日々のコミュニケーションのなかに、以下の3つの技術を意識して取り入れると効果的です。
- ペーシング
声のトーン、ボリューム、スピードなどを相手に合わせること。 - ノンバーバルコミュニケーション
表情、身振り手振りなどの、非言語のコミュニケーションのこと。 - アクノレッジメント
単純に「褒める」のではなく、相手の変化に気づき、それを「認めている」ことを相手に伝えること。
これらを取り入れることで、相手は「ちゃんと話を聞いてくれている」「自分のことを認めてくれている」と感じ、本音で話しやすくなります。
ミドルマネジメントの役割と成功ポイント
マネジメントやマネージャーという言葉を聞くと、ミドルマネジメント(中間管理職によるマネジメント)を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。ここでは、ミドルマネジメントの主な役割と、成功ポイントを紹介します。
組織のミッションを達成する
まず1つめは、組織のミッション達成を達成することです。具体的にすべきこととしては、以下のようなことが挙げられます。
- 目標設定
- 業務の管理・改善
- 関連部門との連携
- 外部組織との関係強化
ポイントとしては、目標は「結果」と「プロセス」の2つを設定するということ。例えば、「売上〇〇%アップ(結果)のために、受注〇〇円(プロセス)を目指す」といったイメージです。
また、テクノロジーの進展により、さまざまなものがデジタル化しています。積極的にITツールを導入して、業務を効率化していくことも、今後は重要になってくるでしょう。
部下を教育する
2つめは、部下の教育です。具体的にすべきこととしては、以下のようなことが挙げられます。
- 監督・観察
- 適切なフィードバックとフォロー
- 一人ひとりに目標と役割を与える
- 部下のモチベーションを高める
ポイントは、一方的な指導にならないように注意することです。まずは、マネージャーとしての考えを部下にしっかり伝え、信頼関係を築いていきましょう。
また、モチベーションを高めるためには、定期的なミーティングや意見交換の時間を設けるなど、日頃からコミュニケーションの機会を増やすことを意識し、部下が発言しやすい雰囲気をつくることが大切です。
働きやすい環境をつくる
3つめは、働きやすい環境をつくることです。具体的にすべきこととしては、以下のようなことが挙げられます。
- コンプライアンス遵守の徹底
- 働き方改革
- 多様性を受け入れる
ポイントは、時代の流れを考慮することです。現在政府は、シニアや女性もライフステージにかかわらず活躍し続けられるような社会を実現するために、さまざまな施策に取り組んでいます。多様性を受け入れ、活躍できる環境をつくっていくことが、今後の企業の持続的な成長には不可欠です。古い慣習や独自のルールが根付いているなら、一度見直してみるべきでしょう。
マネージャーに多い悩みとは
マネジメントを任され始めたばかりの頃は特に、壁にぶつかるものです。ここでは、若手マネージャーに多い3つの悩みと、その解決方法を紹介します。
年上部下との付き合い方
年上の部下に対してどう付き合えばよいのか、悩みを抱えている人は多いのではないでしょうか。例えば、「指示を出しにくい」「指示を素直に聞いてくれない」「パフォーマンスが上がらない」などが、具体的な悩みとして挙げられます。
これまでの日本では、社員を定年まで雇用する「終身雇用制度」と、年齢や勤続年数によって賃金や役職が決まる「年功序列制度」が一般的でした。しかし、増え続ける人件費の問題や、テクノロジーの進展によるIT化などの影響を受け、近年では、「成果主義」に切り替える企業も多く、年上部下を持つマネージャーは増えているようです。
解決方法
経験豊富な年上部下は、いざという時に頼りになる存在になり得ます。良好な関係を築くポイントは、「年上だから」ではなく「チームの一員」として、どのような役割が適切かを考えることです。このためには、年上部下のことをより理解し、長所や短所を見極める必要があります。コミュニケーションの機会を増やし、相互理解を深めていきましょう。
また、時代により、世界情勢や教育方針は変化するものです。当然、「働く」ということに対する価値観も違うことでしょう。若手マネージャーにとっての当たり前が、年上部下にとっては当たり前ではないと認識することも、重要なポイントです。
プレッシャーが増す
マネージャーになると、個人だけでなく「チーム」としての成果を求められるようになります。プレッシャーから、心身に不調をきたしてしまう人もいるのです。
出世や昇進によって生じるうつ状態は、「出世うつ」や「昇進うつ」とも呼ばれています。頭痛やめまい、吐き気、集中力の低下、不安や悲壮感など、いつもと違う症状があるなら、早めに対処が必要です。
解決方法
プレッシャーやストレスとうまく付き合っていくためにまず大切なのは、マインドセットを新しく整えることです。マインドセットとは、その人の基本的な考え方や心構えのことをいいます。
例えば、「マネージャーになったのだから仕事は増えて当然。それでも一人で完璧にこなさなくては」と、自分を追い込むのではなく、初めて仕事を任された時のように、「1つずつしっかりこなしていこう」と考えてみてください。これだけで、少し心が軽くなりませんか?
また、マネージャーだからと一人で抱え込まずに、周囲に頼ること大切です。悩みや不安な気持ちは信頼できる人に相談し、任せられる仕事は部下に任せてみましょう。
しかし、これらはあくまでも出世うつや昇進うつの「予防法」です。もし、何かしらの症状が現れているなら、早めに医療機関を受診しましょう。
部門間の連携がうまくいかない
部門間の連携は、マネージャーの重要な仕事の1つです。例えば、新たな商品を開発するとします。営業部門は、「販売しやすいように価格を抑えたい」と考えているのに対し、生産部門は「顧客の声を集めて意見を反映させた商品を作りたい」と考えている場合、対立が生まれてしまうこともあります。
このように意見が違う場合、マネージャーは両部門の意見をすり合わせ、方向性が同じになるように調整していかなくてはなりません。しかし、なかなか連携がうまくいかないと悩んでいる人も多いのではないでしょうか。
解決方法
まずは、連携がうまくいかない要因を探ってみましょう。要因が「相互理解が出来ていない」であるなら、コミュニケーションの機会を増やす工夫をし、「人手不足」なら、人事部門に相談してみましょう。
また、自身よりも上のポジションにいる先輩マネージャーや、以前に自分のポジションを務めていた先輩社員にアドバイスをもらうというのも、1つの方法です。世のなかにあるさまざまなマネジメント手法を学ぶことも大切ですが、「自社独自の秘訣」が、解決に導いてくれることもあるでしょう。
VUCA時代のマネジメントに必要なもの
「VUCA(ブーカ)」という言葉を聞いたことはありますか? 変化が激しく複雑で、将来の予測が困難な状態を表す言葉です。テクノロジーの急速な発達、グローバル化などにより、企業を取り巻く環境はめまぐるしく変化しています。この予測不能な「VUCA時代」を生き抜いていくために、今後マネジメントに求められるようになるであろう、3つのスキルを紹介します。
情報感度の高さ
先に述べたように、マネージャーには情報収集力が求められます。多様な情報を集められる人と、ありきたりな情報しか集められない人の違いは、情報感度の高さです。
情報感度が低い人は、明らかに課題に直結していると分かる狭い範囲の情報しか集められません。対して、情報感度が高い人は、さまざまなところにアンテナを張り、多様な情報を仕入れています。
例えば、近年であれば、SDGsや脱炭素社会などが話題となることが多くなりました。これらに関するニュースを目にしたときに、「うちは大手ではないから関係ないだろう」と考えるのか、「今後どう影響してくるだろうか」と考えられるかが、情報感度の高さの違いです。
多様な人材への対応力
現在政府は、多様な人材を活かし価値創造につなげる「ダイバーシティ経営」を推進しています。少子高齢化が進むなかで、日本経済を持続的に成長させていくためには、これが不可欠と考えるためです。1つの企業に対しても、同じことがいえるでしょう。
「多様な人材」とは、性別や年齢、人種・国籍などの目に見える多様性だけでなく、価値観、キャリア、経験、働き方などの多様性も含まれます。多様な人材を受け入れ、活躍できる環境をつくっていくことが、今後はより求められる時代となるでしょう。
コンプライアンスに対する敏感さ
SNSが普及し、企業の不祥事もあっという間に広まってしまう時代となりました。法律を守ることはもちろんですが、「知らなかった」や「うっかり」で違反してしまうケースも多いのです。
例えば、企業のパソコンを私的に利用することや、自宅で仕事をするためにデータを持ち出すといった行為から、情報漏洩やウイルス感染につながることもあります。貸与品や情報の取り扱いは、明確にルールを定めておくべきでしょう。
このような違反を防ぐために、マネージャーはコンプライアンス教育などを受け、ある程度の知識を身につける必要があります。
知っておきたいマネジメントの考え方
マネジメントをするうえで知っておきたい考え方として、「PDCA」「OODA」「マズローの欲求5段階説」の3つを紹介します。
PDCA
PDCAとは、「Plan(計画)」→「Do(実行)」→「Check(評価)」→「Action(改善)」の4つの頭文字をとったものです。一連の流れを繰り返し、業務効率化を進め、生産性を上げていきます。マネジメントだけでなく、あらゆる場面で用いられているフレームワークです。
- Plan(計画)
現状と目標のギャップを分析し、目標を達成するための計画を立てます。現状をしっかり分析することで、目標が組織・チームに適切かどうか、現在の課題は何かが見えてきます。 - Do(実行)
立てた計画を、タスクに分けて実行していきます。次のCheck(評価)がしやすいように、実行した内容は記録に残しておきましょう。 - Check(評価)
計画通りに実行できたか、目標は達成できたかどうかの評価を行います。単純に「できた」「できなかった」ではなく、そのような結果となった要因をしっかりと分析し、次につなげていくことが大切です。 - Action(改善)
評価をもとに、改善策を考えます。改善策が複数挙がった場合は、優先順位をつけて検討していきます。計画通りに進み目標が達成できた場合であっても、「どうすればより良くなるか」を考え、さらに伸ばしていきましょう。
この一連の流れを繰り返していくことを、「PDCAサイクル」といいます。
OODA
OODA(ウーダ)とは、「Observe(観察)」→「Orient(方向づけ)」→「Decide(判断)」→「Action(行動)」の4つの頭文字をとったもので、近年注目されているフレームワークの1つです。
- Observe(観察)
まずは、市場や顧客、競合などを観察します。このステップでは、集めた情報やデータをありのままに受け入れ、現状を把握することが重要なポイントとなります。 - Orient(方向づけ)
現状を把握できたら、どういった状況なのかを分析し、行動の方向性を決定します。これにより、Decide(判断)やAction(行動)も変わってくるため、OODAのなかで最も重要なステップといえるでしょう。 - Decide(判断)
具体的な行動計画を立案するステップです。順番通りにいくと、次はAction(行動)になりますが、その前にObserve(観察)に戻り、状況に変化がないか確認しましょう。 - Action(行動)
行動計画を実行します。実行後はObserve(観察)に戻り、行動によりどのような変化があったかを把握しましょう。
この一連の流れを繰り返していくことを、「OODAループ」といいます。プロジェクトが短期的で迅速な判断が求められるときはOODA、中長期的なプロジェクトではPDCAが有効です。
マズローの欲求5段階説
マズローの欲求5段階説とは、有名なモチベーション理論の1つです。アメリカの心理学者 アブラハム・マズローにより提唱されました。「人間は自己実現のために絶えず成長する生き物だ」という考えのもと、5つの欲求が、段階的に満たされていくとしています。
- 自己実現欲求……もっと自分を高めたい、自分らしく生きたいという欲求
- 承認欲求……他者から認められたい、自分自身を認めたいという欲求
- 社会的欲求……他者に自分を受け入れてほしいという欲求
- 安全欲求……安全に暮らしたいという欲求
- 生理的欲求……生きていくための本能的な欲求
この考え方をマネジメントに活かすことで、メンバーのモチベーションや自主性の向上が期待できるでしょう。
研修を通して社員のマネジメント力を向上させよう!
社員のマネジメント力は、研修により高めることが可能です。研修の具体的な内容としては、強い組織をつくる方法や、経営数学力を身に着ける方法、部下の育成方法などが挙げられますが、本記事でも紹介したように、一口に「マネジメント」といっても、階層や業務範囲によっても求められる能力は異なります。対象者に合ったプログラムを組み立てることが大切です。
例えば、新任マネージャーや経験の浅いマネージャーに対しての研修なら、マネジメントの基礎的な知識・スキルが身につくようなプログラムが良いでしょう。すでにマネージャーとして活躍している既任管理職に対しての研修なら、最新情報やトレンドなども取り入れることで、さらなるステップアップが期待できます。
マネジメント力向上におすすめの研修
マネジメント力をアップさせる研修に、簡単なゲームを取り入れるのもおすすめです。座学で学んだ知識・スキルを、ゲームを通して実践してみることで、より早く身につくことが期待できます。また、マネジメントでは、まず信頼関係を構築することが大切です。ゲームを取り入れることで、社内コミュニケーションの活性化にもつながるでしょう。
株式会社IKUSA(以下、IKUSA)は、マネジメント研修に役立つ、さまざまなサービスを提供しています。そのなかから、PDCAやOODAを実感できるものや、チームビルディングにつながるものを、いくつか紹介します。
チャンバラ合戦
「チャンバラ合戦」は、スポンジの刀を使い、相手の腕についた命(カラーボール)を落とし合うという、戦国をテーマにしたアクティビティです。
チームに分かれて、「軍議(作戦会議)」と「合戦」を繰り返し行っていきます。例えば、大将戦(敵軍の大将の命を落としたチームが勝利)なら、自軍の大将を守りつつ、敵軍の大将を狙わなければなりません。誰が「守り」で、だれが「攻め」に適しているのか、マネージャーとして個人の強みを活かした役割分担ができるかがカギとなります。
とにかく「楽しく」PDCAを身につけたいという方におすすめです。
サバ研
「サバ研」は、サバイバルゲームを通してOODAを学べる研修です。通常のサバイバルゲームは、相手を倒す、または相手チームのフラッグ獲得で勝利となりますが、「サバ研」は、チームでいくつかのチェックポイントを回ってミッションをクリアし、合計ポイントが多いチームが勝利となります。
ミッション遂行の合間に、ブリーフィング(簡単な報告・話し合い)の時間が2回設けられています。限られた時間のなかで状況を把握し、方向性を決めなければなりません。
本格的なエアガンだけでなく、当たっても痛くないレーザー銃も利用可能です。安全のため専門のスタッフも配置されているので、安心してゲームを楽しむことができます。
合意形成研修 コンセンサスゲーム ONLINE
「合意形成研修 コンセンサスゲーム ONLINE」は、ある物語における必要なアイテムの優先順位を、チームで話し合って決めていくというものです。Zoomなどのビデオチャットツールを使って、オンラインで実施します。
マネジメントでは、信頼関係が欠かせません。信頼関係の構築は、まずお互いの価値観や考え方を理解することから始まります。このゲームでは、個人ワーク→グループワークの流れのなかで、自然と相互理解を深めることができます。
また、メンバーのさまざまな意見をまとめていくなかで、マネジメント必要な論理的思考力も身につきます。
まとめ
マネジメントの目的は、成果を上げるために、組織やチームを管理することです。そのためには、ヒト・モノ・カネの経営資源を効率的に活用する必要があります。
一口に「マネジメント」といっても、階層や業務範囲別にさまざまな種類があり、求められる知識やスキルも多岐に渡ります。さらに今後は、変化の激しい時代に対応する力も求められるようになっていくでしょう。
いずれも短期間で身につけられるものではありませんが、企業の持続的な成長のために、マネジメントは不可欠です。マネジメント研修などを通して、社員のマネジメント力の向上に取り組んでいきましょう。
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